国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、先日(2月

 

28日)、温暖化の影響や、被害を軽くする適応策について、最新の

 

報告書を公表しました。人の活動によって生じた温暖化による

 

影響で、「すでに広い範囲で損失や被害を引き起こしている」と

 

指摘しています。治水などの対策をとればリスクを減らせるが、

 

このままでは対応が難しくなる「適応の限界」を迎えると警告して

 

います。IPCCは、今年秋に公表予定の第6次統合報告書に

 

むけて、作業を進めています。昨年夏の第1作業部会報告書は、

 

温暖化が人間の影響であることを「疑う余地はない」と断言しま

 

した。産業革命前からの気温上昇が2040年までに1.5度に

 

達する見通しを示しました。今回は、第2作業部会が、気候変動の

 

影響や対応策を分析しました。気候変動に関連する研究論文を

 

270人の専門家が精査してまとめた最新の科学的成果の結集

 

ということです。すでに世界で33億~36億人が被害を受けやすい

 

状況にあって、今後10年間が決定的に重要だ、としています。

 

デング熱の感染リスクが世界各地で増えるほか、多くの人が移住

 

を余儀なくされたり、内戦につながったりする恐れを指摘して

 

います。どのような被害がどの程度想定されるか、何を守るのか、

 

温暖化に強い食料生産への転換などの問題があります。この

 

政府間パネルのオンライン会合で、ロシアの代表が自国の

 

ウクライナ侵攻の正当性を否定した上で謝罪を表明しました。

 

学者ということですが、公の場での謝罪で、国内で糾弾されない

 

ように願っています。戦争は、膨大な化石燃料を消費し、環境を

 

破壊します。そうした意味でも、一刻も早く、停戦することが必要

 

です。日本でも、影響は出ていて、環境省が2020年12月に

 

出した「気候変動影響評価報告書」では、コメの品質低下や魚の

 

分布変化、熱中症による死亡者数増加などで、評価した71項目

 

中49項目が最も深刻な「特に重大な影響」でした。国は、2018

 

年に気候変動適応法を作り、計画を閣議決定しています。米や魚

 

の品種開発、遊水池の整備、職場での熱中症対策など、各省に

 

対策がまたがっているので、強力な司令塔が必要かと思います。

 

もちろん、温暖化防止の対応を極力とっていくことが重要ですが、

 

否応なく温暖化は進んでいるので、それに対する対策も考えて

 

いくことだと思います。