児童虐待のたびに、救える命を救えなかったということが、続き

 

すぎています。今年1月に6歳で亡くなった岡山市の西田愛菜

 

ちゃんが、昨年9月に鍋の中に長時間立たされるなどした虐待

 

事件で、岡山県警が強要容疑で母親と交際相手の男を今月、

 

逮捕しました。愛菜ちゃんは、逮捕容疑の虐待があった2日後に、

 

意識不明で救急搬送され、搬送前には体を布団でぐるぐる巻きに

 

された状態で、4ヶ月後に死亡した際の死因は低酸素脳症で、

 

呼吸困難だったと県警はみています。室内のカメラが、信じられ

 

ないような虐待の数々を捉えていた、と報じられています。捜査

 

幹部も、想像を絶すると語るほど過酷で執拗な虐待だった、との

 

こと。最長で6時間近く、鍋の中に立たされて、泣きじゃくる愛菜

 

ちゃんの全裸の身体に、交際相手の船橋容疑者(38)が、霧吹き

 

で液体をかけ、扇風機の風を当て続けていました。それを「楽しい

 

ミッションがやってきた」と発言しています。また、2020年9月

 

には、全裸で目隠しされた愛菜ちゃんが、夜の墓地で叱責されて

 

いるのが目撃され、県警が対応し、児相に引き渡され保護され

 

ましたが、船橋容疑者が反省を示したことなどから、2週間で解除

 

されたそうです。その後、船橋容疑者と接触できたのは昨年9月

 

までに電話で1回だけだった、とのこと。児相は「事案としては軽度

 

と判断した」「多忙な状況だが何とかできなかったのかとう思いだ」

 

と説明しています。子どもの命がどれだけ重いものか、多忙を

 

理由にすることはできず、児相の対応には、歯がゆさばかりです。

 

「男が愛菜ちゃんへ暴行しているのでは」という通告を2019年

 

4月にも受けていて、母親の西田容疑者に「そういう人はいない」と

 

言われ、児相では「今後の関係を考慮した」と、それ以上面会を

 

求めるなどの対応はしていませんでした。事件直前に家庭訪問を

 

しましたが、西田容疑者が愛菜ちゃんについて「親せき宅に行って

 

いて不在」と言って、会うことはできませんでした。虐待事件のたび

 

に、実際に会って目視などで確認するように、とあれだけ言われて

 

いるのに。あまりのむごさに、言葉を失うほどの虐待が、なぜ防げ

 

なかったのか。岡山市は、週内にも外部有識者の審議会を開き、

 

児相の対応を検証する、とのこと。子どもの命に危険があることを

 

判断する職員の能力を高め、介入することに及び腰にならない

 

ように、国としてきちんとした仕組みを作る必要があると思います。

 

親が保護に同意しない場合について、厚生労働省は、後ろ盾と

 

して司法の審査を経る制度を導入する方針で、早期の実現が

 

望まれます。