岸田首相は、昨日12日、安定的な皇位継承策を検討していた
政府有識者会議(座長:清家篤元慶応義塾長)の答申を、政府案
として国会に報告しました。細田衆院議長、山東参院議長などと
国会内で会談して、提出しました。この報告については、再三指摘
しているように、皇位継承策を先送りし、皇族の数を増やすことに
すり替えた弥縫策です。両院議長は、各党代表を集めた全体
会議を18日に開く方針、と報じられています。これで、議論は、
与野党協議に移ることになります。今回の報告は、有識者会議が
とりまとめたもので、政府はどのように検討したのかも、明らか
ではありません。皇族数確保を喫緊の課題とし、①女性皇族が
婚姻後も皇族の身分を保持する ②皇族の養子縁組を可能とし、
皇統に属する男系男子を皇族とする、という2案を提起して
います。皇位継承策の検討は、特例法を作る際の附帯決議に
基づいて行われました。しかし、今回の報告は、その附帯決議に
沿わない点が多く、国会が軽視されている、とみられています。
決議は、政府に、①安定的な皇位継承策、女性宮家創設の検討
②政府がその検討を行い、結果を速やかに国会へ報告する
こと、でした。ところが、皇位継承策については、悠仁様以降の
継承ルールを議論するには「機が熟していない」として、切り離して
皇族数の確保を図ることが喫緊の課題、という理解しがたい理由
で、先送りしてしまいました。悠仁様の代になって、他に皇位継承
者が誰もいなくなってから検討したのでは、遅いにきまって
います。女性宮家についても、「法律に基づく制度ではない」と
して門前払いしています。また、国会は、「政府」に検討するよう
求めましたが、岸田首相が提出したのは、有識者会議がまとめた
報告書で、政府として検討したとは思えません。国会決議が軽視
されていることを指摘し、与野党を越えて、国会で速やかに検討
してもらいたいと思います。