先日の衆院選で、今の選挙制度で見直すべきことが、いくつか
指摘されています。ひとつは、在外投票についてです。今回、
解散から投開票までが戦後最短という日程だったこともあり、投票
できない人が出てしまいました。例えば、在ラオス日本大使館は
ラオスに住む邦人に、衆院選で大使館での在外投票を行わない
というメールを送った、と報じられています。新型コロナの影響で
ラオスから日本へ向かう航空機の定期便が止まり、臨時便の運航
も設定できないためです。国際宅配便も通常より配送に日数が
かかっていて、投票用紙が投票日までに投票者が登録した各
市区町村選管に届くか保証されていない、とのこと。在外有権者
数は、2017年衆院選挙では10万90人で、小選挙区投票率は
21.18%でした。現地の大使館や総領事館で投票する在外公館
投票がもっとも多くなっています。今回の選挙では、ラオス、
フィジー、サモア、アフガニスタン、シリアなど計15ヶ所で、コロナ
の影響や治安悪化などの理由で見送られました。政府は、在外
邦人に郵便投票を呼び掛けていますが、手続きが煩雑などの
問題が指摘されています。①有権者として登録する市区町村選管
に「投票用紙請求書」などを国際郵便で送る ②市区町村選管が
投票用紙を交付し返送 ➂公示日の翌日以降に候補者名を
記入し、市区町村選管に送り返す ということで、国際郵便で
1往復半のやりとりが必要です。ずっと議論されている、インター
ネットを使った投票方法を、まず在外邦人で実施するなどの検討
が望まれます。もう一点は、代理投票の制限についてです。障害
があり、選挙の投票を自分で書くのが難しい有権者は、代理
(代筆)による投票が認められています。代筆できるのは、
投票所の係員だけで、家族や介助者が本人にかわって記入する
ことは、できません。昨年の大阪都構想の住民投票で、期日前
投票に付き添った母親が自閉症の娘の分を記入し投票したと
して、公選法違反で在宅起訴されました。母親が代理投票の
仕組みを理解していなかったのに、起訴する事案ではないのでは
ないでしょうか。公選法の代理投票に関する規定の周知が必要
です。また、係員に投票先を知られたくないということで、投票を
あきらめ棄権を余儀なくされているケースもある、とのこと。係員
の代筆が原則としても、本人の意思を尊重して家族が代筆する
ことも検討してもらいたいと思います。