強制性交や強制わいせつ罪などの刑法の性犯罪規定について、

 

上川陽子法相は、10日の閣議後会見で、16日の法制審議会

 

(法相の諮問機関)総会に諮問することを明らかにしました。

 

2017年の法改正後も無罪判決が続き、被害者団体は「加害者

 

が野放しになっている」と批判してきました。法務省の検討会で

 

議論されてきましたが、結論はまとまらなかった、とのこと。諮問に

 

よって法改正に向けた作業は進むことになりますが、議論の行方

 

は見通せない、と報じられています。当事者が声を上げたことで、

 

規定が被害実態に合っていないことが、わかるようになりました。

 

しかし、法務省幹部は、「処罰範囲を広げると冤罪が生まれるとの

 

懸念と、どう折り合いをつけるのかが鍵」とみている、ということ

 

です。被害者たちが、2019年の名古屋地裁岡崎支部で、

 

未成年の娘に性的暴行をした実の父親を無罪とした判決を

 

はじめ、4件の無罪判決が出たことを契機に、花を手に性暴力

 

撲滅を求める「フラワ-デモ」を始め、全国に広がりました。

 

現在は、コロナ禍でオンラインにしているところもあります。

 

被害者が求める法制審での検討のポイントは、〇「暴行、脅迫」

 

要件の見直しを含め、同意のない性行為を適切に処罰する規定

 

〇公訴時効(強制性交罪は10年)の撤廃や延長 〇性交同意

 

年齢(13歳)の引き上げ 〇地位や関係性を悪用した性行為の

 

処罰規定の創設 です。暴行・脅迫要件を巡っては、暴行や脅迫

 

がなくても被害に遭う例は多く、実態に合わなくなっています。

 

性暴力は、話せるようになるまで時間が必要な場合が多いので、

 

公訴時効を撤廃か延長してほしい、ということ。性交同意年齢の

 

13歳は欧米各国に比べても低いので引き上げてほしい、という

 

ことです。取り調べへの弁護人の立ち合いなどで冤罪を防いだ

 

上で処罰範囲を拡大するのが、国際的な流れ、と専門家は指摘

 

しています。日本は、国際的にみてジェンダー・ギャップが大きい

 

ことは周知の事実ですが、諸外国では1970年代に行われた

 

改革、ということで、日本の本気での取り組みが求められて

 

います。