農林水産省は、2020年度のカロリーベースの食糧自給率が、
前年度から1ポイント低下し37%だった、と25日に発表しました。
1993年度と2018年度に並ぶ過去最低の水準、とのこと。輸入
頼みの小麦の生産量が落ち込んだことが響き、新型コロナ
ウイルス禍で、外食需要減少に伴う消費の落ち込みも押し
下げた、と報じられています。新型コロナの影響は、家庭食の
増加など自給率向上に寄与する要因もありましたが、マイナス面
が上回りました。一方、生産額ベースの自給率は前年度から
1ポイント上昇の67%でした。世界では、人口の増加や気候変動
による食料供給の不安定化が懸念されていて、海外に依存する
現実には、危うさが増しています。政府は、昨年改訂した「食料・
農業・農村基本計画」で、2030年度の目標を45%と設定しま
した。十分な議論もないまま、それまでの目標を据え置いた、と
いうことで、形だけの目標になっていて、実現の道筋は見えない、
といわれています。この目標設定の抜本的見直しが必要と指摘
されています。低迷の最大の要因は、自給できている米の需要
減少と、2020年度は小麦の生産量が落ち込んだことがあり
ます。日本人の食生活は変化しているので、それに合わせて
農業生産を変えられれば、自給率は下がりません。日本の農家
は、高品質で付加価値の高い農産物にかけてきていて、議論の
対象になっているカロリーベースの自給率は37%ですが、生産額
ベースでは67%を維持しています。生産額ベースでも考える必要
があるのかどうか。高齢化、過疎化で耕作放棄地が増えている
ことへの対応も迫られています。喫緊の課題を、具体的に、消費
する国民にも、わかりやすく解決していくことが、求められます。