長野県は、昨日20日、感染力の強いデルタ株流行による新型
コロナウイルス感染者の急増で医療提供態勢の逼迫が懸念
される状態になったとして、独自の「医療非常事態宣言」を出し
ました。宣言を出すのは1月14日以来で、この時は2月3日まで
で解除しています。同時に県内の感染状況について6段階で示す
感染警戒レベルを、初めて全県一律に「5」(感染が顕著に拡大
している状態)として、「特別警報Ⅱ」を出し、人との接触をできる
だけ減らすことなどを求めました。長野県では、帰省が多いお盆の
後に感染が急増し、20日までの3日間、感染発表者数は1日当り
130~150人台で推移しました。阿部知事は、このまま増えると
通常医療にも影響が出て「救える命が救えなくなる」「先手を打つ」
と宣言を決めた、ということです。医師、看護師など現場からの
窮状を訴える声に、最大限の措置で応えた状態です。
全国で感染者が爆発的に増えている中、政府は、新型コロナ
ウイルスの感染状況を評価する指標の見直しを検討している、と
報じられています。増加する新規感染者数よりも、重症者の病床
使用率といった医療の逼迫度を重視する方向、とのこと。希望者
へのワクチン接種完了によって「出口戦力」を描きたい考えです
が、現在の緊急事態宣言の期限の9月12日までに宣言を解除
し、解散の選択をできるようにしたいようですが、これでは恣意的
な方針転換と批判されることになると思います。政府は、現在、①
医療の逼迫度 ②療養者数 ➂PCR検査陽性率 ④新規感染者
数 ⑤感染経路不明の割合の5項目を目安として、宣言の発令や
解除を判断しています。しかし、過去最悪の流行となった第5波が
襲っている中で、見直しが必要とは思えません。総選挙を控え、
宣言を解除しやすい環境をつくろうとして、ゴールポストを動かす
ことがあっては、ならないと思います。野戦病院のような臨時の
病院や、宿泊療養施設を増やして、自宅で亡くなることがない
よう、すべての人が医療につながる体制を作ることが、一番すべき
ことです。そして、イベルメクチンも含めて、効果があるとされる
治療薬を充実させ、ワクチン接種を希望者にいきわたらせること、
それが先だと考えます。