経済産業省は、昨日12日、2030年時点の各電源の発電
コストの新たな資産を有識者会議で示しました。前回2015年の
試算では、最も安いとされた原子力は、東電福島第一原発事故を
受けて安全対策費が膨らみ1割程度上昇しました。脱炭素化で
導入量の増加が見込まれる太陽光発電が最安になる、とのこと。
発電コストの安さを原子力の強みとして強調してきた経産省が、
太陽光の発電コストが原子力を下回る、という試算を示したのは
初めてで、意味があると思います。1キロ当たりの発電コストで、
原子力は2015年の試算時には10.3円以上としていましたが、
1円超上がって11円台後半以上になる、としました。上昇の原因
は、廃炉に関する費用のほか、各地の原発で災害などを想定した
事故防止対策のコストが増加すると見込んだためです。一方、
太陽光は、事業用が2015年の試算で12.7~15.6円でした
が、8円台前半~11円台後半になりました。住宅向けは12.5~
16.4円から9円台後半から14円台前半に下がるとしています。
世界的に普及が進むことでパネルなどの価格低下が進むと
見込んでいます。試算は、発電設備を新たに更地に建設し運転
した場合が前提で、土地取得の費用などは含まれていません。
経産省は、ベースロード電源として原発を重視してきていて、
太陽光は夜間に発電できないこともあり、コストが上がっても原発
の重要性は変わらない、という立場と報じられています。それ
でも、原発が最安ではない、と言わざる得ない事実を、経産省が
認めたのですから、原発はなくしていってほしい、という国民の多く
の声を反映してもらいたいと思います。再生エネルギーの課題と
なっている送電コストの問題などを解決して、前に進めてもらい
たいものです。