中国に批判的な論調で知られ、民主派を支持してきた香港の
日刊紙「リンゴ日報」が、昨日24日朝、最後の朝刊を発行して、
26年の歴史に幕を閉じました。通常の10倍以上で、過去最高の
100万部を発行しました。午前1時すぎから長蛇の列が、ニュース
スタンドにでき、約800部が25分で売り切れた、などと報じられて
います。香港国家安全維持法(国安法)によって逮捕された
副社長のメッセージを掲載し、「報道の自由が暴政の犠牲に
なった」と訴えました。リンゴ日報は、創業者の黎智英誌が、昨年
国安法違反容疑で逮捕され、今年4月に別件で実刑判決を
受けて服役中です。編集長や主筆たちも逮捕された上、資産を
凍結され、事業継続を断念しました。創業者の黎氏は、弾圧への
抵抗でノーベル平和賞の候補にもあがっている、とのこと。欧米
からの非難に耳を傾けない習近平指導部による締め付けが加速
し、民主主義にとって欠かせない「報道の自由」が終わった、と
されています。香港の市民は、「きょうは香港の言論の自由が
終わる日だ。この地もいつか共産主義になるかもしれない」などと
危機感を露わにしている、ということです。米国務省報道官は、
「独立した報道期間への抑圧だ」とし、香港政府トップの林鄭月娥
行政長官たちの米国内の資産凍結などの制裁を科しましたが、
効果はないようです。国安法に違反したとして逮捕された報道
関係者や民主派の活動家などは、110人を超えています。加藤
官房長官は、報道の自由を大きく後退させるものだとして「重大な
懸念を強めている」と記者会見で表明しています。すぐにできる
ことがないのが歯がゆいですが、関心を持ち続けていることが
大事かと思っています。