香港の民主活動家、周庭(アグネス・チョウ)さん(24)が、昨日
12日午前、7ヶ月ぶりに出所しました。香港で逃亡条例改正案に
反対するデモを組織するなどした罪で、禁錮10ヶ月の実刑判決を
受けましたが、刑務所での態度が模範的だったことなどから刑期
が短縮され、約7ヶ月での出所となりました。100人以上の報道陣
や支持者などが、「がんばれ!」などと呼びかけましたが、周庭
さんは、言葉なく去った、と報じられています。昨年6月施行の
香港国家安全維持法のもとでは、体制を批判すれば刑事訴追
される恐れがあり、沈黙しなければならないのが現状とのこと。
周庭さんは、同日夕、インスタグラムに「苦しかった半年と20日が
ようやく終わった。これからしばらく休みたい」と綴っています。
だいぶやせた印象で、まずはゆっくり休んでほしい、と思います。
刑務所では、服を7枚着て寒さに耐え、村上春樹を読んでいたそう
です。周庭さんは、15歳で社会運動を始め、普通選挙の導入を
求めた2014年の「雨傘運動」では、広報担当として外国メディア
とも接していました。日本語を独学で習得し、香港の民主運動や
活動家などが逮捕される現状などについて、日本語で発信を
続けていました。香港の現状は、民主化を求める人たちには非常
に厳しく、出所とほぼ同時に、香港島では中国政府主催で「中国
共産党と一国二制度」というシンポジウムが開かれ、香港政府
トップの林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は、中国政府側の
対応について「共産党の指導の下で国安法が公布され、選挙
制度も改善し、香港の問題が解決した」と賛美した、ということ
です。このところ、メディアも香港について、あまり伝えなくなって
しまっています。私たちが、関心を持ち続け、政府も何ができる
か支援のための知恵をしぼることが、必要だと思います。