里親経験者として子どもを預かる長野県内の養護先の男(57)

 

が、立場を利用して子どもに性的虐待をしたとして、監護者性交と

 

児童福祉法違反(児童に淫行をさせる行為)の罪で起訴された

 

初公判が、先週、長野地裁の支部で開かれました。検察側は、

 

冒頭陳述で、男が昨年5月以降、10回以上にわたって子どもに性

 

的虐待を重ねていた、と明らかにしました。男は、高校卒業後に

 

職を転々とした後、2015年に里親登録をし、特別なケアが必要

 

な子どもも預かる専門里親になりました。被害にあった18歳未満

 

の子どもは、2017年5月から男の養護先で暮らしていて、男は

 

住宅2階の自室に招き入れて犯行に及んだ、と検察はして

 

います。被害が発覚したのは、昨年11月に学校が実施した

 

アンケートで子どもが被害を申告し、担当教諭が子どもなどに聞き

 

取りをして、昨年12月、学校が児童相談所に通報し、男は

 

その後、里親登録を削除されました。事件を巡って、県の社会

 

福祉審議会下部組織の重大被措置児童虐待検証委員会が会合

 

を開き、再発防止などに向けて検証を始めています。阿部知事

 

は、子どもの里親委託を委託を進める立場から「あってはなら

 

ないことが起きてしまい、大変申し訳なく思っている。心からお詫び

 

申し上げたい。」「家庭的な養護を広げていこうと取り組んでいる中

 

でこうした事案が発生してしまったことを重く受け止める。二度と

 

起こらないようしっかりと検証してもらい、今後の対応につなげ

 

たい」としています。国としても、虐待を受けたりした子どもを、保護

 

した後、できるだけ家庭に近い状態で養護する方針で、大規模な

 

施設より、里親へ、という考え方を示しています。もちろん、家庭に

 

近い状況がよいのは、わかりますが、そこで更に性的虐待にあう、

 

ということは、何としても防がなくてはなりません。数年前に、国の

 

専門家の会議が、特に幼児は施設には預けず、すべて里親に

 

などの方針を決めた時に、十分な里親が確保できない現状で

 

拙速すぎ、子どもが犠牲になることがないように、と意見を伝え

 

たりしました。里親を増やすために、資格の審査がおろそかに

 

なっていたことは、ないのでしょうか。検証をして再発防止をする

 

こと、また里親への支援が十分でない現状もあります。預けられた

 

子どもの状況を、しっかり把握する仕組みも必要だと思います。

 

辛い経験をした子どもが、更に被害にあうことがないよう、叡智を

 

集めて、対応を急ぐことだと思います。