バイデン米大統領は、14日、ホワイトハウスで演説し「永遠に

 

続く戦争を終わらせる時だ」と述べ、アフガニスタン駐留米軍を、

 

米中枢同時テロから20年となる9月11日までに完全撤退させる、

 

と正式に表明しました。「理想的な条件づくりや結果を期待して、

 

駐留延長や拡大を繰り返すことはできない」として、駐留に終止符

 

を打つ決意を示しました。アフガン駐留米軍は現在2500人規模

 

で、北大西洋条約機構(NATO)などの部隊を加えると計約9600

 

人になります。NATOは、14日の声明で、米国とともに協調して

 

5月1日までに撤退を開始する、と表明しました。米軍駐留が

 

始まって、バイデン大統領で4代目になります。多額の費用を

 

費やし、2000人以上の米兵が命を落としました。バイデン氏は、

 

同時テロの首謀者で国際テロ組織アルカイダ指導者だった

 

ビンラディン容疑者を殺害し、アルカイダも弱体化したと指摘し

 

「アフガンを再び米本土攻撃の拠点にさせないとの目的は達成

 

された」と強調しました。バラク・オバマ元大統領の自伝「大統領

 

回顧録Ⅰ 約束の地」でも、印象に残ったのは、アフガニスタンや

 

イラクなどの戦地で死亡し、米国に戻った兵士を迎える時の苦悩、

 

兵士の母のことばに胸を打たれるシーンです。世界の警察を自認

 

していた米国も、中国との厳しい対立、新型コロナウイルスの流行

 

などの米国を取り巻く環境の変化に対応しなければならないこと

 

も、撤退の理由のようです。バイデン氏は、和平を模索するため

 

に、アフガン政府とタリバーンが権力を分け合う形で暫定政権を

 

つくることを提案し、今月24日からは、トルコで国際会合が開かれ

 

る、ということです。しかし、アフガン政府の後ろ盾だった米駐留軍

 

の撤退は、反政府武装勢力タリバーンとの和平交渉を、一層

 

難しくすることも考えられます。NHKにいた時に、パキスタンの難民

 

キャンプで、アフガン難民の取材をしましたが、戦争は、弱い立場

 

の子どもや女性に大きな負荷を負わせます。何とか、国際社会が

 

関心を持ち続けて、争いが治まることを願っています。