日本原子力発電東海第2原発(茨城県東海村)の運転を差し止め

 

るよう9都県の住民が求めた訴訟で、水戸地裁は、先週18日、

 

重大事故発生時の避難計画に欠陥があるとして、運転を認め

 

ない判決を言い渡しました。自治体が策定した避難計画だけを

 

理由に運転を禁じる司法判決は初めてです。一方、四国電力

 

伊方原発3号機(愛媛県伊方町)を巡る、昨年1月に広島地裁が

 

決定した運転差し止めを命じる仮処分では、広島高裁が、同日、

 

運転を容認する決定をしました。東海第2原発の判決で、前田

 

英子裁判長は、重大事故が起きた場合、数万から数十万人が

 

一定の時間内に避難することは相当の困難を伴うとして「実現

 

可能な避難計画を作り、実行できる体制が整備されていなければ

 

ならない」としました。約94万人が住む原発から半径30キロ圏内

 

の14市町村のうち、避難計画を策定しているのは5自治体に

 

とどまり、策定済みの計画でも、複数の項目が今後の検討課題

 

として挙げられていることを指摘し、「実現可能な避難計画が

 

整えられているというにはほど遠い。防災体制は極めて不十分だ」

 

として、住民の人格権が侵害される具体的な危険がある、と判断

 

しました。事故が起きた場合に、住民が逃げられない原発を運転

 

してはいけない、という普通に考えれば、当たり前のことを言って

 

いる、この判決ですが、初の決定の意義は大きいと思います。

 

また、女性の裁判長ですね。30キロ圏内に、全国最多の住民が

 

住んでいるこの原発では、避難計画の実効性を十分に確保する

 

のは不可能という見方もある、ということで、そうであれば、再稼働

 

は断念せざるを得ない、と思います。他の原発でも、避難計画は

 

課題になっています。国が了承することになっている避難計画は、

 

原子力規制委員会が行う再稼働の審査対象になっていないので、

 

審査のあり方も見直す必要があると思います。