同性婚を認めていない民法などの規定が、憲法に違反すると

 

して、北海道の同性カップル3組が、国に1人100万円の損害

 

賠償を求めた訴訟の判決で、札幌地裁は、昨日17日、「不合理

 

な差別で法の下の平等に反する」と初の違憲判断を示しました。

 

国の立法不作為までは認めず、賠償請求は棄却しました。全国

 

の5地裁で争われている同種の訴訟で判決は初めてです。判決

 

の骨子は、〇同性婚を認めない民法規定などは、憲法24条や

 

13条に違反しない 〇同性愛者と異性愛者は法的利益を等しく

 

享受しうる 〇同性愛者が結婚による法的効果の一部ですら

 

受けられないのは合理的根拠を書き、法の下の平等を定めた

 

憲法14条に違反する 〇国民が同性婚などに肯定的になった

 

のは最近で、規定を改廃していないことは違法とはいえない と

 

いうものです。70年以上前の憲法制定時には、同性婚が想定

 

されていませんでしたが、時代の変化とともに家族観は変わり、

 

国民の意識は、同性カップルを理解するようになり、同性婚の

 

容認は、世界の潮流になっています。海外では、2000年以降、

 

約30の国や地域が同性婚を認めています。南アフリカ、

 

ブラジル、米国、台湾では、司法の判断で同性婚が認められた、

 

とのこと。この判決によって、議論が加速され、この問題を考える

 

機運になればと思います。家族法の専門家である棚村早大教授

 

は「同性カップルや性的マイノリティーの人権を、たとえ少数でも

 

守べきものとして真摯に受け止めた判決だ」と評価しています。

 

やはり家族法の二宮立命館大教授も「性的マイノリティーに対する

 

区別的扱いの解消といった社会的要請だけでなく、少数者の人権

 

を守るという司法の役割を果たしたと言える。判決を踏まえ、

 

立法府は同性婚導入の検討を開始すべきだ。」としています。

 

その通りだと思います。判決を出したのは、民事のベテランの

 

武部智子裁判長です。司法判断でも、女性の裁判長の新たな

 

判決は、うれしいことです。日本では、同性カップルの権利に配慮

 

した施策は、自治体が先行しています。2015年の渋谷区に

 

始まり、世田谷区、大阪府、茨城県、群馬県など80近くの自治体

 

がパートナーシップ制度を導入しています。生命保険金の受取を

 

認めるなど民間企業の対応も広がっていますが、法的拘束力は

 

なく、配偶者控除、医療費の合算、相続税の優遇、養子の共同

 

親権などは認められていず、同性カップルの権利が守られて

 

いる、とはいえません。立法措置が必要ですが、2019年に、立憲

 

民主、共産、社民の3党が、同性どうしの結婚を可能にする民法

 

改正案を衆院に提出し、野党は性的指向、性自認に関する差別

 

解消法案も2回提出していますが、いずれも与党の賛同が得ら

 

れず、審議されていません。政府は、「同性婚を認めるべきか

 

否かは、我が国の家族のあり方の根幹に関わる問題で極めて

 

慎重な検討を要する」と繰り返している、と報じられています。

 

選択的夫婦別姓に与党が反対して、度重なる野党の法案提出

 

にも、いわゆる吊るしておき審議しないことと重なって見えます。

 

家族は多様になってきていて、夫婦に子ども2人、ポチとたま、と

 

いうステレオタイプではなくなっていることを、与党議員には認識

 

してもらいたいと思います。選挙で投票する際の、ひとつの基準に

 

もなるかと思っています。