電機大手東芝グループの事業会社のひとつ、東芝デジタル
ソリューションズに勤務していたシステムエンジニアの男性社員
(当時30)が、2019年11月に自殺したのは長時間の過重労働
が原因だったとして、労災が認められたことがわかりました。亡く
なる直前の1ヶ月の時間外労働は103時間56分にのぼった、
とのこと。また、三菱電機で2年前にあった男性新入社員(当時
20代)の自殺が労災として認められました。三菱電機では、ここ
数年、自殺や過労による労災認定が相次いでいて、企業体質が
問われる、と報じられています。教育主任だった上司からの暴言
がパワーハラスメントにあたると判断された可能性が高い、との
こと。亡くなった新入社員は、教育主任から「殺すからな」などと
言われたとメモに記していました。三菱電機では、2012年から、
毎年のように1~2件の労災が認定されている、ということです。
「命より大切な仕事って何ですか」という、過労死家族の会が
出版した本の教訓が、全くいかされていないと思います。それでも
労災認定がされやすくはなっていますが。働き方改革は、どこに
いってしまったのでしょうか。
過労といえば、コロナ対策を担う西村経済再生相のもとで、新型
コロナウイルス感染症に関する政策立案などを行う内閣官房の
対策推進室(コロナ室)で、「過労死ライン」の月80時間を超える
超過勤務(残業)をした職員が多数いる実態が、明らかになって
います。特別措置法改正の国会審議があった1月のコロナ室の
平均の残業時間は、約122時間だったそうです。1月に最も長く
残業した職員は約378時間で、いつ過労死してもおかしくあり
ません。また、政府は感染拡大防止策として、民間企業にテレ
ワーク(在宅勤務)を呼びかけていますが、11月~1月の平日に
テレワークしたコロナ室の職員は、いませんでした。西村氏は、
「私自身、すべての職員の残業時間を承知できるわけではない」
としたうえで「大変申し訳なく思っている」と陳謝しました。加藤
官房長官は「特に300時間を超える勤務、これはかなり異常だ」
とし、河野行革相も「相当ひどい数字だ。黒(ブラック)を通り
越している」と批判しています。西村氏は、熱心な仕事ぶりで
知られていますが、その裏で部下の官僚たちが過酷な働き方を
強いられている実態が発覚し、将来の首相候補の一人と
目されていたのに、疑問符が付きつつある、とのこと。毎日、会見
するのをやめた方がいい、という声もあり、ほとんど休みがとれ
ない状態の改善が、早急に求められています。西村氏は、安倍
政権で官房副長官を務めていたときも、秘書官の疲弊ぶりが
問題視されていた、ということで、猛省を促したいと思います。