法制審議会の親子法制部会は、昨日9日、子の父を決める民法
の「嫡出推定」を見直す中間試案をまとめました。離婚後300日
以内に生まれた子を「前夫の子」とみなす規定の例外を設け、
母が出産時点で再婚していれば「現夫の子」とする内容です。
現在の規定は、母が出生届けを出さず、無国籍の子どもを生む
主な原因になっていました。明治時代から続いてきた家族の
ルールが、ようやく一部ですが改正される道が見えてきました。
また、離婚時に妊娠中の女性を対象にした100日間の再婚禁止
期間の撤廃も盛り込まれています。ともに、議員をしていた時から
取り組んできましたので、ようやくという思いです。現在の民法
では、結婚200日経過後に生まれた子は現夫の子、離婚後
300日以内の子は前夫の子とみなすと規定しています。子の福祉
上、父を早く確定する必要があるという考えですが、母が離婚直後
に別の男性との子を産んだ場合に支障が出ていました。家族の
あり方が多様になり、また科学的に証明できるようになるなど、
時代の流れに即していないと、見直しを求める声が上がって
いました。特に、法務省によると、今年1月時点の無戸籍者は
901人いて、前夫が父となるのを避けるために母が出生届けを
出さなかったケースが73%にのぼり、問題になっていました。
また、中間報告には、父子関係を否定する嫡出否認の訴えは、
夫にのみ出生から1年間認められているものを、未成年の子と、
子の代理で母にも広げ、提訴期間を3年か5年に延長することも
盛り込まれています。今回の改正案は、一歩前進ではあります
が、事実婚カップルなどには適用されず、DV夫から逃れて離婚が
成立していない場合もあるなど、課題も残されています。これを
一歩として、更に改正していってもらいたいと思います。
また、中間試案では、子の利益のため監護、教育を行う親権者の
権利と義務を定める民法820条に、第2項として子の人格の尊重
義務を新たに規定。その上で、「820条の監護、教育に必要な
範囲内で子を懲戒することができる」とする822条について、
〇条文そのものを削除 〇「懲戒」に代えて「指示、指導」を用い、
体罰禁止を明記 〇「監護、教育に際し体罰を加えてはならない」
と規定する3案を軸に、引き続き検討する、としています。この点
も、児童虐待のもとになっているので、是非、見直しをしてもらい
たいと思います。
法制審は、パブリックコメントを経て議論を進め、最終案を法相に
答申する予定で、法務省は来年の通常国会への改正法案提出を
目指して作業を進める、ということです。