2020年の自殺者が、2万919人だったことが、22日、警察庁の
自殺統計(速報値)で、わかりました。新型コロナウイルスの感染
が拡大した昨年は、2019年の確定値から750人増え、対前年
比3.7%増になりました。前年を上回ったのは、2009年以来、
11年ぶりになります。男女別では、男性は11年連続減少して
いますが、女性は増加し、過去5年で最多の6976人(885人増)
になっています。また、小中高生は、同様の統計がある1980年
以降で最多となりました。小中高生の自殺者は440人で、内訳は
小学生13人、中学生120人、高校生307人となっています。
現時点で年齢、職業、原因別データは、11月分までの公表という
ことで、1ヶ月を残して、最多となっています。自殺者が増えたこと
について、厚労省の担当者は、コロナ禍による経済的な影響や
生活環境の変化、学校の休校、外出自粛などが影響した可能性
があるとして「厳しい状況だ。女性は幅広い年代、職業、原因・
動機で増加していて、悩みに応じて支援していきたい」と語って
いる、と報じられています。また、ライフリンクの清水代表は、
「自殺は複数の要因が連鎖して起きることが多い」と話して
います。非正規労働者の失業、家庭内暴力、有名人の自殺報道
などが、女性や若者に影響を与えた可能性がある、としています。
小中校生の自殺増について、相談窓口のチャイルドラインでは、
昨年、いじめについての相談が大きく減った一方、気分の落ち
込み、在宅勤務で家にいる親との関係などの家族の問題、自傷
行為の相談が増えた、としています。また、昨年3~10月、
子どもが死にたいと思っていると考えられる相談が、前年同期の
4.6倍にのぼった、とのこと。コロナ禍で、女性のうち半数以上を
しめる非正規労働者は、解雇や雇止めにあい、ひとり親や子育て
中の共働き世帯、単身の女性の家計を直撃し、困窮の度合いが
深まっている、と考えられます。また、外出自粛、リモートワークの
影響で、家族が顔を合わせている時間が増え、家事育児などの
負担がもともと高い女性に、多くの心身とものしわ寄せがあった
こともあると思います。政権は、ひとり親世帯への追加給付などを
していますが、十分ではありません。政権には、第3次補正予算
案に含まれている、GoTo継続の予算や、国土強靭化の予算など
をやめて、こうした弱い立場の人たちの命を救う施策に全力を
投じてもらいたいと思います。また、市民活動で支えている人たち
には、自治体など行政が、上から目線ではなく「協働」の考え方で
並走し、支えてもらいたいと願っています。