自民、公明両党は、10日、2021年度与党税制改正大綱を決定

 

しました。新型コロナウイルス感染症拡大による経済や暮らし

 

への打撃を和らげるため、住まいや車の減税を延長し、菅政権が

 

推進する脱炭素かやデジタル化への企業の投資優遇を盛り

 

込み、国税で500~600億円程度の減税になる、と報じられて

 

います。負担軽減策の柱は、住宅ローン減税の特例やエコカー

 

減税の延長です。毎年末の住宅ローン残高の1%を所得税や

 

住民税から控除できる住宅ローン減税は、13年間の控除が受け

 

られる特例の入居期限を2020年末から2022年末まで延長

 

します。対象となる住居の面積も、年間所得が1千万円以下の

 

人に限って、40平方メートル以上に引き下げます。自動車重量税

 

を減免するエコカー減税も、来年4月までの期限を2年間延長し、

 

より燃費がいい車が減税になるよう仕組みを変え、全体では今

 

まで通り新車の約7割が減免対象になるようにします。固定資産

 

税も、地価の上昇で税額が上がる場合、すべての土地について、

 

2021年度に限って2020年度の税額に据え置き、増税になら

 

ないようにします。家計への配慮をあげましたが、、新規の減税は

 

企業向けが中心ですし、贈与税の特例や住宅の減税は資産家を

 

優遇する面もあり、新型コロナウイルスで痛みを受けた幅広い層

 

への波及が課題となる、といわれています。業界の要望を丸のみ

 

にし、負担増の議論は封印された、ということで、産業界も驚く

 

「満額回答」だった、とされています。研究開発減税の上限引き

 

上げや、過去の赤字分を直近決算の黒字額から一定割合まで

 

差し引いて税負担を軽くする制度も拡充しました。法人実効税率

 

を下げるのと引き換えに、2015、16年度改正で、縮小された

 

経緯があるものです。コロナ禍で深刻さがより鮮明になった格差

 

への対応は、見られません。税制改正の本来の役割である、税が

 

もたらす社会のひずみの解消や財源確保などは、顧みられず

 

放棄されています。コロナ禍で、負担増を回避することを優先する

 

ことは理解しますが、昨日伝えた大盤振る舞いの補正予算と

 

ともに、将来のあるべき姿を考えなくてよい、ということにはなり

 

ません。