小惑星探査機「はやぶさ2」が、6年50億キロの旅を経て、帰って

 

きました。10年前に、満身創痍で燃え尽きた初代と違い、

 

大きなトラブルのない順調な飛行と見えましたが、裏では、着陸

 

のめどが立たなかったり、再着陸の断念を迫られたり、といった

 

危機があありましたが、チームワークで乗り切った、と報じられて

 

います。宇宙航空研究開発機構(JAXA)の探査機「はやぶさ2」

 

が投下した小惑星りゅうぐうの石が入っているとみられるカプセル

 

は、6日未明、地球の大気圏に突入し、約30分後の午前4時

 

24分(日本時間午前2時54分)、オーストラリア南部ウーメラ

 

近くの砂漠に計画通り着地し、回収されました。カプセルは、現地

 

の施設に移送され、7日にも内部に小惑星由来のガスが含まれる

 

かどうか簡易検査をする、とのこと。検査が順調なら、8日にも

 

日本に到着する、と報じられています。ガスが探知されれば、

 

小惑星の試料採取が成功した可能性が高い、ということで、太陽

 

系の成り立ちや生命の起源に迫る情報を得られる可能性もある、

 

ということです。はやぶさ2本体は、カプセルを切り離した後、地球

 

に衝突する軌道から離れ、新たな探査の旅に出ました。次に

 

目指すのは、地球と火星の間を回る直径30メートルほどの小さな

 

小惑星で、さらに100億キロを飛んで、2031年に到着する

 

見通しです。こうした分野に詳しくないので、途方もなく素晴らしい

 

日本の技術に感服するばかりです。各国で、天体からの試料採取

 

でしのぎを削っている中で、日本は技術の優位性と経験を

 

いかして、こうしたプロジェクトを先導できる立場にあります。日本

 

は、初代はやぶさで、史上初めて小惑星の砂を持ち帰ることに

 

成功し、その分析から、地球の隕石の多くが小惑星から来ている

 

ことや、太陽系が生まれたばかりのころの姿が明らかになり

 

ました。日本は、この分野で「欧米より10年先を行く」とも

 

言われています。ところが、日本の宇宙関連予算が年間3千億

 

円代で推移する中、はやぶさ2のような無人探査や観測衛星など

 

の科学予算は、5年前の約200億円から160億円に減っている、

 

とのこと。科学探査は、技術開発の起訴なので、次世代を担う

 

人材育成の場としても重要で、予算がさらに圧迫されることが

 

心配だ、と宇宙政策委員会の松井代理は話しています。日本

 

では、全体として、目先の成果を重視し、時間がかかる基礎の

 

部分の予算を削っていることは、ノーベル賞受賞者の多くが危惧

 

しているところです。お金をかけるべき分野を、長期的な視点で

 

精査すべきだと思います。