政府が検討している75歳以上の医療費の自己負担引き上げを
めぐって、厚生労働省は、いま医療費の1割を負担している人を
所得の基準ごとに7通りに分け、新たに2割を負担する人が、
どれだけの人数になるか、試算をまとめました。データを精査し、
近く厚生労働省の審議会や与党の部会に提出する、と報じられて
います。影響を受ける人は100万人単位にのぼるため、政府は
世論の反応も踏まえて12月中に2割負担となる所得水準
決める、とのこと。75歳以上の高齢者は約1815万人います。
現在は、現役並みの所得の約130万人が3割を負担し、それ
以外は1割負担です。政府は、2022年度から、1割負担の中でも
一定の収入がある人の負担を2割に引き上げる方針です。
負担増を所得の上位20%(年金収入の目安は単身で240万円
以上)とすると、対象者は最も少ない約200万人になり、上位
53%(同80万円以上)と最も広げると約825万人が対象に
なります。政府内では、2割負担にする所得層は、課税所得の
ある上位38%(同170万円以上)の約520万円の範囲で
検討すべきだという意見が強まっているそうです。超少子高齢
社会の日本で、社会保障制度を維持し、必要な部分を拡充する
ためには、バラ色の未来はなく、どのように公平に負担し合うかだ
と、民主党政権で行った税・社会保障一体改革の中でも合意して
います。試算によると、仮に制度改革をしないと、2020年度に
6兆8千億円だった現役世代の保険料からなる「後期高齢者
支援金」が、2025年度には8兆2千億円に上がります。2022年
には前年度比2500億円、2025年度は3100億円増になると
試算されています。コロナ禍や1年以内に迫っている衆院選の
ために、与党内で先送りや慎重論が出ている、ということですが、
団塊の世代が75歳になり始める2022年以降は、医療費の急増
が見込まれていて、少子化で減っている現役世代の負担を減ら
していくことが喫緊の課題です。選挙目当てに口当たりのよいこと
ばかり言っていると、社会保障制度が崩壊するか、どんどん
増えている次世代への借金のつけが、さらに増えることになり
ます。低所得の高齢者が困らないような配慮をしながら、国民に
わかりやすく説明をして、高齢者の負担増を実現する必要が
あります。