全国の児童相談所が、2019年度に児童虐待として対応した
件数が19万3780件(速報値:前年度比21.2%増)に上った
ことが、18日、厚生労働省のまとめでわかりました。1990年度
の統計開始以来29年連続で最多を更新しました。前年度からの
増加数は3万3942件で過去最多でした。虐待の4類型のうち、
最多の心理的虐待は10万9118件で、全体の46.3%を占めて
います。心理的虐待に分類される、子どもの前で家族に暴力を
振るう「面前DV(ドメスティックバイオレンス)」の警察からの通告の
増加が目立つ、とのこと。コロナによる自粛、リモートワーク、職を
失うなどの理由で、DVが増加していることもあり、児童虐待にも
その影響が出ていると思われます。身体的虐待は4万9249件
(25.4%)、ネグレクトは3万3345件(17.2%)、性的虐待は
2077件(1.1%)でした。加害者としては、「実父」が占める割合
が年々上昇し、面前DVの増加が全体の数を押し上げた、と報じ
られています。子どもと母親への対応だけでなく、父親が相談
できる機会を増やすことも必要だと思います。児童虐待には、
様々に取り組んできましたが、ずっと指摘されている児童相談所
職員の数も質も上げることは、課題のままです。政府は、2022
年度末までに、児童相談所の児童福祉司を5260人程度にまで
増やす計画で、児相職員1人が担当する虐待などの件数を40件
程度にする、としています。現状では、首都圏のある児相では、
職員1人が対応する虐待件数は、平均月50~60件で、非行や
施設入所などの業務を加えると月100円に上る、とのこと。これ
では、1件ずつに親身になって対応することが、できません。
是非、対応を急いでもらいたいと思います。また、虐待の情報は、
警察の通告が全体の半数近くですが、近隣住民からの通告も
増えています。周りの目と心づかいが、子どもの命を救うことに
つながればよいとも思います。