厚生労働省は、9月末に、全国の公立病院や日赤などの公的
病院のうち、診療実績が乏しいなどと判断した424病院に統廃合
を含めた再編の検討を求めることを決め、病院名を公表しました。
過剰とされる病床数の削減を踏まえた議論を促すことを狙った
異例の措置で、病院名の公表は初めて、とのこと。強制力は、
ありませんが、対象病院に来年9月までに具体的結論を示すよう
要請する、と報じられていました。対象病院は、全体の29.1%に
あたり、新潟が53.7%、北海道が48.6%、宮城が47.5%と
高くjなっています。沖縄だけは対象病院が、ありませんでした。
昨日開かれた厚生労働省の病院再編を含む地域の医療体制に
ついて話し合う作業部会で、新型コロナウイルスの感染拡大で
遅れていた協議の加速を厚労省は提案しましたが、病院団体の
委員から「拙速だ」という異論が出て、具体的な工程や方向性に
関する議論は前進しなかった、ということです。厚労省は、感染症
拡大時の対応策に配慮しつつ、地域の実情に応じて病院再編を
含む医療体制の効率化を急ぐ必要があるとしましたが、委員から
は、「どの医療機関がどのような機能を果たすのか、しっかり協議
しないと方向性が見えない」など、さらに議論を深めるべきだという
意見が相次いだそうです。その通りだと思います。先月末には、
病院の再編・統合をめぐる国と地方団体の協議の場が開かれ、
地方側からは、新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえて、地域
に必要な医師や病床の数を改めて検証する必要があるとして、
丁寧に議論を進めるよう求める意見が、相次ぎました。全国
知事会代表の平井鳥取県知事は、「新型コロナウイルスによって
浮き彫りになった各地域の医療の課題に、もう一度向き合って
いく現実的なアプローチを始めていくべきだ」と述べました。
現在は、新型コロナウイルス感染の最中で、医療機関の重要性
がいわれる中で、効率化という名の下に切り捨てていくことには、
共感が得られないと思います。超少子高齢社会のトップランナー
の日本で、どのように医療体制を維持していくのか、コロナの現状
も踏まえた、丁寧な議論を望みます。