第203臨時国会が、昨日26日召集され、菅首相が就任後初の
所信表明演説を行いました。温室効果ガスの排出量を2050年
までに実質ゼロにする目標を新たに打ち出しました。行政の縦
割りの打破、デジタル庁の創設、不妊治療支援、携帯電話料金
引き下げなどの実現を表明しました。これに対して、日本学術
会議の問題に触れなかったことや、社会保障の財源の問題や、
国家としてビジョンに触れなかった等の批判がある、と報じられて
いて、それは、その通りと思います。それでも、2050年に温室
効果ガスを実質ゼロにすることを表明したことは、評価したいと
思います。安倍政権の時には、環境問題には、ほとんど触れて
いませんでしたが、菅首相は、就任の時にも語り、初の所信表明
でも、宣言しました。そのために、梶山経産相と小泉環境相を
留任させた、ということです。2050年に実現するためには、
2030年にどのような目標を実現するのか、今何をするのか等を
具体的に決めることが必要になり、宣言した意義は大きいと思い
ます。菅首相は、CO2排出量が多い石炭火力への対応について、
「長年続けてきた石炭火力発電に対する政策を抜本的に転換
する」と述べました。日本は石炭火力をできるだけ減らす方針
ですが、新設は認めています。欧州の各国は、年限付きで石炭
火力の全廃を掲げていて、そこまで踏み込むかどうかでも、
本気度がわかるかと思います。小泉環境相は、海外での石炭
火力への援助をやめる方針を述べていて、大手銀行の中には
やめることを表明する所も出てきています。梶山経産相は、2050
年に実質ゼロにするための実行計画を年末をめどにまとめる、と
発表しました。政府が2030年度の電源構成について、原発を20
~22%、再生可能エネルギーを22~24%としていて、温室効果
ガスも30年度までに2013年度比で26%削減する目標を掲げて
います。しかし、この目標では2050年にゼロにはならないので、
この電源構成も見直すことが必要になります。新たな目標達成の
ためには、次世代型太陽電池、二酸化炭素を再利用する
カーボンコピーなどの研究開発促進や、脱炭素社会に向けた国
と地方の検討の場の創設を、菅首相は、打ち出しています。
安倍政権から、よくないものを引き継ぐのではなく、是非、環境の
問題で成果を上げてもらいたいと思っています。