日本郵政(東京)の契約社員などが、正社員と同様に各種手当や

 

休暇を与えるよう求めた3件の訴訟の上告審判決で、最高裁第1

 

小法廷(山口裁判長)は、昨日15日、扶養手当や有休の休暇

 

などについて、「不合理な格差で違法だ」として、契約社員にも

 

認める判断をしました。最高裁は13日に、別の訴訟の判決で、

 

退職金と賞与の請求を退けています。15日の判決は、個別企業

 

についてですが、同じような趣旨の手当を設ける職場への影響は

 

大きく、非正規労働者の待遇改善につながる可能性がある、と

 

されています。先日の判決では、働き方改革に反すると憤りを

 

感じましたが、昨日の判決で、非正規の待遇改善に道が開か

 

れたと感じます。今年の4月から、大企業を対象に「同一労働

 

同一賃金」制度が始まっていて、企業には、その趣旨に沿った

 

対応が求められています。第1小法廷が認めたのは、扶養手当、

 

病気休暇、年末年始勤務手当、夏期・冬期休暇、祝日給の5つ

 

です。扶養手当は「生活保障や福利厚生を図り、継続的な雇用を

 

確保する目的」があると指摘し、契約更新を繰り返して長年働いて

 

いる原告たちにも当てはまり「支給対象にしないのは不合理だ」と

 

述べています。有給の病気休暇も、継続的な勤務が見込まれる

 

場合は、同じように認めるべきだと判断し、あとの3つも、正社員

 

だけとする合理的な理由はない、としました。今回の訴訟は、契約

 

社員たち12人が、2014年、東京、大阪、佐賀の3地裁に提訴

 

したもので、高裁で判断が分かれていて、最高裁は、東京、大阪

 

訴訟の損害額を計算しなおすため、各高裁に差し戻しました。

 

佐賀訴訟は、日本郵便の上告を棄却していて、夏期・冬期休暇が

 

ないのは違法だとして約6万円の賠償を命じた二審高裁判決が

 

確定しました。待遇格差については、2013年に施行された労働

 

契約法20条を根拠に裁判が相次ぎました。20条は、2018年に

 

成立したパートタイム・有期雇用労働法(今年4月施行)に移され、

 

待遇差の不合理認定の基準が「賃金の項目ごとに性質・目的を

 

検討する」とより明確になりました。日本郵政は、これまでも訴訟

 

の進行に合わせて、手当の見直しを進めてきていて、転勤がない

 

正社員を対象とした住居手当の廃止、年末年始手当を年始手当

 

に一本化し、期間雇用社員やアソシエイト社員も対象に加えたり

 

してきている、とのこと。正社員と非正規労働者の待遇格差は、

 

計5件の判決から、「支給する趣旨」が重視されていることが

 

わかり、長期間雇用されていることもポイントになっている、

 

とされています。非正規労働者が増える中で、真の意味の「同一

 

労働同一賃金」が実現するよう願っています。