テニスの大阪なおみ選手は、12日、全米オープンの女子
シングルス決勝で、ペラルーシのアザレンカ選手を破って優勝
しました。全米オープンは、テニスの四大大会の一つで、この大会
では、2年ぶり2回目の優勝になりました。1-6、6-3、6-3
での逆転勝ちでした。大阪なおみ選手は、直前のウエスタン・
アンド・サザン・オープンでは、黒人男性が背後から警察官に
撃たれた事件に抗議して、準決勝のボイコットを一時表明し、
主催者側の日程をずらして、出場したほうが訴えられるという説得
に応じて参加しました。その時に「私はテニスプレーヤーとして
以前に、ひとりの黒人女性として」行動する、と表明し、感銘を
受けました。全米オープンでは、7枚のマスクを用意し、それぞれ
に犠牲者の名前を記し、黒人に対する人種差別や警察による
暴力の犠牲を訴え、力強いメッセージでした。テニスのプレーも
それと相まって、冷静に大人のテニスをしたように見えました。
7枚のマスクに記されたのは、①26歳の救急救命士のブレオナ・
テイラーさん。麻薬事件の捜索で自宅に押し入ってきた警察官に
射殺されました。②23歳のマッサージ療法士のエレイジャ・マクレ
インさん。コンビニからの帰宅中に3人の警察官に頸動脈を押さえ
つけられて心肺停止になり、数日後に死亡しました。③25歳の
アマッド・アーバリーさん。ジョギングしている最中に、白人の親子
に銃殺されました。④17歳の高校生のトレイボン・マーティン
さん。コンビニで買い物をした帰り道、ヒスパニック系白人の男性
と口論になり、胸を銃撃されて死亡しました。⑤46歳の音楽活動
をし、警備員をし4ていたジョージ・フロイドさん。偽造ドル札を使っ
た容疑で拘束された際、警察官に膝で首を押さえつけられて、「息
ができない」と何度も助けを求めましたが、死亡しました。⑥ビデオ
ゲームが好きだった32歳のフィランド・カスティールさん。車を
運転していて警察官に止められ、銃を所持していることを告げた
ところ、車内に向けて7発発砲され、そのうち5発が命中し射殺
されました。⑦12歳の学校が好きだったタミル・ライスさん。市内
の公園で模造銃を手に遊んでいたところ、白人警官に銃で撃たれ
て死亡しました。大阪選手が、「7枚では足りない」と話していた
ように、もっともっと多くの黒人が、人種差別や警察の暴力で死亡
しています。私も、最近のジョージ・フロイドさんの事件は記憶して
いますが、知らなかったものが多かったです。大阪なおみ選手が、
優勝したことで、7枚のマスクは、すべてインタビューで披露され、
世界の人たちに強く訴えられたと思います。それを受けて、私たち
がどう行動していくかだと思います。この優勝によって、世界ランク
は3位になったとのこと。それと同じか、それ以上の価値のある
訴えだったと思います。