国連児童基金(ユニセフ)は、昨日3日、先進・新興国38ヶ国に

 

住む子どもの幸福度を調査した報告書を公表しました。日本の

 

子どもは生活満足度の低さ、自殺率の高さから、「精神的な

 

幸福度」が37位と最低レベルでした。「身体的健康」では1位で、

 

経済的にも比較的恵まれていましたが、学校のいじめや家庭内の

 

不和などを理由に幸福を感じていない実態が明らかになった、と

 

報じられています。とても考えさせられる結果だと思います。日本

 

では、「子どもの権利条約」に批准しながら、それを担保する法律

 

がありません。児童福祉法の改正も、議員の時に試みましたが、

 

相変わらず、子どもは「保護」の対象という考え方が強く、「権利」

 

を規定しようとすると、「これ以上、子どもをわがままにするのか」

 

といった見当違いの意見に押し切られる状態でした。教育評論家

 

の尾木直樹さんは、日本の学校現場を「いじめ地獄」と表現し、

 

偏差値偏重による受験競争過熱も相まって「子どもの自己肯定感

 

が低く、幸福感が育たないのは必然だ」と指摘しています。

 

この報告書は、2015~19年に、経済協力開発機構(OECD)と

 

欧州連合(EU)の加盟国を国連などの統計を使って分析し、一定

 

のデータが集まった38ヶ国を「精神的な幸福度」「身体的健康」

 

「学力・社会的スキル」の3分野で指標化したもので、新型コロナ

 

ウイルス流行前のものです。総合順位で1位はオランダ、2位は

 

デンマーク、3位はノルウェーで、日本は20位でした。日本が

 

低かった「精神的な幸福度」は、生活満足度と自殺率で指標化

 

し、1位はオランダで90%の子どもが満足していました。15~

 

19歳の10万人当たりの自殺率は、ギリシャが1.4人と最も

 

すくなく、日本はその約5倍の7.5人、とのこと。子どもが主体的

 

に、個性を大切にされて育てる社会をつくる必要を、改めて感じ

 

させられました。