新型コロナウイルスによる感染症の予防ワクチンについて、政府

 

の分科会は、21日、新型コロナ患者の治療にあたる医療従事者

 

や高齢者、持病がある人に優先的に接種することする方針を

 

決めました。妊婦についても、優先接種が検討されていましたが、

 

感染したときの重症化リスクに加え、ワクチン接種による妊婦や

 

胎児への影響などわかっていないことが多く、議論を続けることに

 

なりました。

 

ワクチンは、世界各国で開発が進み、実用化への期待が高まって

 

いて、日本政府は全国民への接種も想定して、企業の開発支援

 

や確保に向けた交渉を急いでいます。ただ、実現間近とされる

 

ワクチンは、実用化にこぎつけた事例がない新技術を使って

 

いて、有効性や安全性は未知数です。専門家は、理想的な

 

ワクチンができる保証はないとして、過度な期待を戒めている、と

 

報じられています。世界保健機関(WHO)が公表したリストによる

 

と、ワクチンは169の開発計画が進み、そのうち30は人に投与

 

して有効性や安全性を調べる臨床試験(治験)が始まっています。

 

ウイルスのDNAなど遺伝情報を利用して免疫を導く「核酸

 

ワクチン」が進展が速く、米製薬会社ファイザーやモデルナが

 

代表例、とのこと。日本国内では、国立感染症研究所や東京大

 

医科学研究所、大阪大などが企業と連携して開発を進め、一部

 

は治験を開始しているそうです。日本政府は、複数の欧米企業と

 

のワクチン確保に向けた交渉に力を入れ、これまでに2社と供給

 

について基本合意し、年明けからの接種開始も視野に入れて

 

いる、ということです。しかし、核酸ワクチンなどは新しい技術で、

 

病原性をなくしたウイルスを利用した従来の不活化ワクチンとは

 

違い、実用化の実績が、まだありません。発症や重症化を防ぐ

 

効果や免疫の持続期間は不明で、副作用が高い頻度で報告

 

された例もあります。最重要の安全性を軽視した、ロシアでは治験

 

の最終段階である第3相試験が終わっていないのに、プーチン

 

大統領が承認し、高熱が出たケースもある、とのこと。ワクチン

 

開発をしている東大医科研の石井教授は、開発までは少なくとも

 

5年ほどかかると見込んで備える必要がある」とし、「急げば急ぐ

 

ほど安全性の担保はおろそかになる」としています。分科会の

 

尾身会長も「理想的なワクチンが開発される保証はない。

 

安全性、有効性がどこまでなら使えるか、どこまでなら使えない

 

か、許容範囲の議論も必要になるだろう。」と述べ、効果やリスク

 

についての細やかな情報発信が重要だ、としています。ワクチン

 

を心待ちにするのは当然の気持ちだと思いますが、あくまで

 

安全性が一定程度担保されるまで、ウィズコロナで、気を付け

 

ながら生活するしかないと思います。