内閣府は、昨日30日、有識者などによる研究会を開き、第2次
安倍政権が発足したた2012年12月に始まった景気拡大期間
が2018年10月に終わり、国内の景気は11月から後退局面に
入ったと認定しました。期間は71ヶ月になり、戦後最長記録で
ある「いざなみ景気」(2002年2月~2008年2月)の73ヶ月に
届きませんでした。政府は、2019年1月に、景気拡大が戦後
最長になったとみられるという見解を表明し、最近まで強気でした
が、政府の認識のずれが浮かびかがった、と報じられています。
政府は、コロナ危機が本格化する直前の今年2月まで「景気は
緩やかに回復している」という見解を維持してきましたが、何を
根拠に言い続けたのでしょうか。西村経済再生相は、「アベノ
ミクス景気の山がこのような形で判定されたことは残念だ。」と
「残念」を繰り返した、とのこと。研究会の吉川洋座長(立正大学
長)は、記者会見で、大企業の収益が好調で雇用環境も良かった
が「賃金は上がらず消費も伸びなかった」と分析しています。三菱
UFJリサーチ&コンサルティングの小林真一郎氏は「「戦後最長」
には、アベノミクスの成果を強調し、「レガシー(遺産)」を残したい
政権の意向をくみ取る判断もあったのではないか。その後も、
東京五輪まで粘れば持ち直す期待があったはずだ」として
います。景気について楽観姿勢を続けた政府に対して、第一生命
経済研究所の永浜利広氏は、疑問を持ち、「政府が恣意的に判断
を捻じ曲げていると疑われる可能性があることも認識すべきだ。
米国のように民間研究組織に景気の転換点の判断を任せること
も一案だ」としていて、その通りだと思います。景気動向指数の
基調判断は昨年8月以降、「悪化」を示し続けたのに、政府の
後退の認識が、コロナ危機の影響が深刻化し、どうしようもなく
なったのかと思われる、この時期までずれ込んだのは、納得でき
ません。研究会を政治的に配慮して、影響が少ない時期に開くと
省庁幹部は述べているそうで、これでは的確な判断はできないと
思います。こうしたことも、早く開いた国会で、議論してもらいたい
ものです。