1人の女性が一生の間に産む子どもの数である「合計特殊出生
率」が、2019年、前年より0.06ポイント低い1.36と、8年ぶりに
1.4を割り込みました。低下は4年連続ということが、昨日5日、
厚生労働省が発表した人口動態統計で、明らかになりました。
都道府県別では、沖縄県の1.82が最も高く、最も低いのは
東京都の1.15でした。2019年に国内で生まれた日本人の
子どもの数は86万5234人で、前年を5万3166人下回り、統計
がある1899年以降で、最少になりました。出生数から死亡数を
引いた自然減は51万5864人と、過去最大の減少幅を記録
した、と報じられています。政府は、先日、2025年までの子育て
支援政策などの指針となる、新たな少子化社会対策大綱を閣議
決定しました。育児休業給付金や児童手当の拡充、不妊治療
支援などの方向性を示しました。しかし、いずれも財源の裏付け
が無いのは、問題です。日本は、世界の中でも子どもへの支出が
少ないので、目先の対応だけでなく、将来を考えた未来への投資
を実施すべきだと思います。この大綱では、望む人たちの希望が
かなった場合に見込まれる「希望出生率1.8」の実現を目指して
いますが、あくまで子どもを何人持つかは個人の、そしてカップル
の選択で、希望した人の値と限定しても、出生率の目標値を
決めることには、私は一貫して反対しています。欧州の各国を
見ても、持ちたい人が安心して子どもを産み育てられる政策を
充実すれば、結果として出生率が上がってくることが、明らか
です。3~5歳児の教育・保育の無償化よりも、待機児童をなくす
ことが優先、という子育て世代の意見を聞かない政策では、安心
して産み育てることには、つながりにくいと思います。すでに、所得
の低い人には、無償化、低減化が進んでいる中での無償化は、
裕福な人たちのメリットが大きいとされています。今回のコロナ
での自粛生活について、積水ハウスがアンケート調査したところ、
「ステイホーム」で女性のストレスが急上昇していました。平日も夫
がずっと家にいることで、家事の負担が偏っていると改めて感じた
人が多かったようだ、と。調査は、5月に、小学生以下の子どもが
いる20~49歳の男女300人にインターネットで行いました。
在宅時間の増加によるストレスの増減を聞いたところ、男女とも
「増えた」とする回答が半数を超え、男性は51%、女性は70%と
差が出ました。在宅勤務中の人に不満の理由を聞いたところ、
「運動不足」「家事増加」「自由な時間が減る」という回答が多く
ありました。特に家事への不満は女性の比率が男性を大きく
上回りました。家事の負担が女性に偏っていることを見直す
チャンスとすれば、持ちたい子どもを持てることにもつながると
思います。子育てをしている人への、経済的支援、保育所など
子どもの居場所の確保、働き方の見直しなどを総合的に行うこと
だと思いますが、男女の意識・役割分担の見直しなどソフトの部分
が変わっていかないと、出生率は、下がり続けることになると
思います。