新型コロナウイルス感染拡大で打撃を受けた中小企業や観光

 

業者などを支援する、政府の経済対策に、多くの疑問が生じて

 

いて、国会で野党が追及しています。一つは、コロナ終息後の

 

需要喚起策としての「Go To キャンペーン」で、最大3095億円

 

、事業総額の18%と見積もられている事務委託費です。キャン

 

ペーン費用は、2020年度第1次補正予算に1兆6794億円を

 

計上しています。旅行商品は半額分(1人当たり1泊最大2万円)

 

を補助し、その一部は旅先での買い物や飲食に使えるクーポンと

 

して発行されます。事務費が大きい分、補助の金額が減ることに

 

なり、またコロナの感染拡大の第2波が危惧される中、キャン

 

ペーンの実施を急ぐ必要性は小さく、事業の中身を見直すことが

 

必要だと思います。二つめは、中小企業向けの「持続化給付

 

金」を巡って、受託した一般社団法人サービスデザイン推進協議

 

会の実態が不透明だという点です。769億円で事業を受託した

 

協議会が、749億円で電通に再委託していて、協議会は電通に

 

仕事を回すための「トンネル法人」と見られています。協議会は、

 

ホームページに電話番号の記載すらなく、野党議員が1日に

 

事務所を視察した際は、テレワークのため?職員が不在だった、

 

とのこと。法律で義務づけられている決算の公告も、2016年度

 

の設立以来怠ったままで、ガバナンスに問題があることは明らか

 

です。今回の入札の経緯も不透明で、経産省は応札額を協議会

 

の分しか公表していず、入札に参加した別の1社の応札額は

 

明らかにしていません。協議会の役職員の多くが、広告大手電通

 

と人材サービス大手パソナの関係者で、設立にもかかわった電通

 

やパソナなどは、協議会を通じて巨額の公的事業を請け負い、

 

協議会が事業を受けるための「受け皿」になっている、と指摘され

 

ています。代表理事のアジア太平洋マーケティング研究所の笠原

 

所長は、8日に辞任するそうです(2月に辞意を意思表示して

 

いた)。協議会は、経産省の入札に、過去4年間で15回応札し、

 

このうち14回と非常に高い確率で受注しています。政府と近い

 

業者に不当な利益が流れているのではないか、という疑念を

 

持たれて、当然だと思います。三つめは、第2次補正予算案

 

に計上された予備費が、巨額の10兆円に及ぶ問題です。安倍

 

首相は、「状況の変化に応じて臨機応変に対応することが必要

 

だ。万全を期すために追加した。」と国会で答弁していますが、

 

かつてない巨額の予備費の使いみちを、政府に白紙委任する

 

わけには、いきません。政府がお金を使う時に、事前に国会の

 

議決を必要とする「財政民主主義」は、憲法上の原則です。

 

予備費は憲法で「予見し難い予算の不足に充てるため」のものと

 

定められていますが、今回額は異例の大きさです。野党からは、

 

「憲法の規定を事実上、すり抜けるもの。脱法、脱憲だ」という声

 

が上がっています。せめて10兆円の一部について、使途を明示

 

できるかどうかなどを議論する見通し、と報じられています。

 

今回の新型コロナウイルスの拡大は、確かに経験のないことで、

 

どこの政党が政権を担っていても大変だということは認識した上

 

で、安倍政権が、あまりにも不透明な納得のいかないやり方を

 

しているので、支持率が下がり続けているのだと思います。