米中西部ミネソタ州ミネアポリス近郊で起きた白人警官による

 

黒人男性のジョージ・フロイドさん暴行死事件を巡って、国防総省

 

は、2日、抗議が連日続く首都ワシントン近郊に陸軍部隊1600人

 

を派遣に備えて移動させたと発表しました。トランプ大統領は、

 

デモが過激化すれば、制圧のために軍の投入も辞さない構えで

 

戦時を演出する手法に社会の分断を加速させる、と批判が強まっ

 

ている、と報じられています。ジョージ・フロイドさんが、「息ができ

 

ない。ヘルプ・・・」と言っているのに、9分間にわたって、首を膝で

 

地面に押し付け圧迫し続けている白人警官の映像は、衝撃的

 

でした。各地で略奪が起きていることと、平和的に差別禁止を訴え

 

るデモは別物だと思います。それに対するトランプ大統領の対応

 

は、これも秋の選挙を意識してか、強行すぎて、一番すべき耳を

 

傾けることを一切せず、批判すべきものだと思います。トランプ氏

 

は、2日、ツイッターで「多くが逮捕された。圧倒的な力。支配。

 

ミネアポリスもすごかった」と警察の対応を称賛し、ニューヨークに

 

「州兵を招集せよ」と呼びかけました。これに対して、ニューヨーク

 

州のクオモ知事は、トランプ氏は「デモ隊と犯罪者の区別を曖昧に

 

しようとしている」「黒人男性が亡くなったことについては話そう

 

ともしない」と厳しく批判しました。同感です。2日には、全米でデモ

 

が続きました。ホワイトハウス前の広場の周囲にはフェンスが

 

作られ、デモ隊が数千人になり、「撃たないで!」などとシュプレヒ

 

コールを上げました。警察は、前日、催涙ガスを使って広場のデモ

 

隊を追い払い、トランプ氏が向かいの教会まであるき、写真を

 

撮影できるようにしました。このパフォーマンスについて、宗教界

 

から、市民を抑圧して宗教を政治利用する行為で、「聖書の教え

 

に反する」と批判しています。亡くなった黒人男性の弟テレンス・

 

フロイドさんが、兄が亡くなった現場を訪れて号泣しながら「何を

 

しているんだ。そんなことをしても兄は戻ってこない」と、略奪や

 

破壊行為への怒りをあらわにしていた姿は、胸を打ちました。

 

各地で、白人の警官が共感して「ここにいる警官は、みなさんを

 

愛している。」と、デモ隊の更新に合流したり、フロイドさんの事件

 

などについて語り合ったりしていることもある、ということです。

 

米国を拠点としている日本選手、大谷翔平選手、ダルビッシュ

 

投手、大坂なおみ選手、錦織圭選手、八村塁選手、渡辺雄太

 

選手などが、SNSを通じて、抗議の意思を表しています。人種

 

差別や警察の残虐行為に抗議する「Blackout Tuesday(真っ暗な

 

火曜日)」の活動に応じたもので、インスタグラムやツイッターに

 

黒い無地の画面を投稿しました。事件の背景には、根の深い

 

人種差別があります。公民権運動が起きた1950~60年代に、

 

弾圧に負けずに、法的差別の撤廃を勝ち取りましたが、不平等は

 

今でも多くあります。今回のコロナでも、黒人の死亡率は、白人の

 

2倍に上っていたり、黒人の投獄率が白人の5倍だったり、様々

 

にある、ということです。オバマ前大統領は、「今このときを真の

 

チャンスへの節目とするには」という論文で、若者に呼びかけて

 

いるそうです。街頭で声を上げよう、そして地元の選挙の際に

 

投票に行こう。抗議と政治参加の両輪がそろってこそ変革は

 

成しうるものだ、と。その通りだと思います。平和的に声を上げ、

 

次の大統領選挙にも、その声を反映させるようにしてほしいと

 

願っています。