世論の批判が大きく、元検事総長なども反対の意見書を出して
いた、検察庁法改正案について、政府・与党は、今の国会での
成立を見送る方向で検討している、と報じられています。批判が
強まる中で強行採決をすれば、政権へのダメージが大きいという
懸念があるため、とされています。新型コロナウイルス対策への
影響などを慎重に見極め、今年秋の臨時国会に先送りしようと
しています。当然の判断で、本来なら、撤回し、廃案にすべきもの
だと考えます。SNSを使った俳優など著名人をはじめとする多くの
反対意見、そして、専門の当事者である松尾元検事総長など検察
OB十数人が、15日に反対する意見書を法務省に提出したことも
大きく働いたかと思います。元検察トップなどが具体的に行動を
起こして抗議することは極めて異例なことで、「政治の介入により
検察の独立性がゆがめられる」としています。また、今日18日
には、東京地検特捜部の熊崎元部長など特捜部OBの有志38人
が、「検察権の行使に政治的な影響が及ぶことが強く懸念される」
として、考え直すよう求める意見書を、法務省に提出しました。
三権分立によって、政治家も起訴する権限がある検察は、政府
からの独立性が重んじられてきました。ところが、安倍政権は、
政権に近い黒川検事長の定年を規定に反して延長し、その後
づけとして、定年延長の法案を出したと推察されています。
法案では、検察官の63歳の定年を、政府が必要と判断すれば、
1年延長を3回にわたって行える、とされています。これでは、
検察の独立が脅かされることは、専門家だけでなく、誰の目にも
明らかなので、これだけ反対が広がったのだと思います。コロナ
対策に集中すべき、この国会での強行採決をしないことにした
のは、当然のことだと思います。では、次の臨時国会ならよい
のか、というと、そうではなく、これは撤回すべき法案です。
束ね法案とした、公務員の定年を延長する法案と、少なくとも
切り離す必要があると考えます。