新型コロナウイルスのニュースに埋め尽くされている中、大事な

 

法案が、国会で審議されています。先週木曜日16日から、

 

検察官の定年を65歳に引き上げる検察庁法改正案の審議が、

 

衆院で始まっています。新型コロナウイルス感染拡大を受けて、

 

野党が審議先送りを求めましたが、与党が押し切りました。安倍

 

政権に近いとされる東京高検検事長の定年延長が厳しく問われ

 

ていますが、安倍政権は、「適切におこなった」と強調しています。

 

16日の衆院本会議で、共産党の塩川氏が「コロナ感染症対策に

 

全力を尽くすべきさなかに、火事場泥棒的に押しとおそうなど

 

断じて許されない。」と審議入りを批判しました。検察官の定年が

 

政治問題となったのは、1月31日の閣議決定で、63歳の定年

 

退職間近だった東京高検の黒川弘務検事長(63)の定年を

 

半年間、延長する異例の決定がなされたからです。黒川氏は

 

政権に近いとされ、検察トップの検事総長に就任する可能性が

 

出てきたため、野党は「首相を逮捕するかもしれない機関に、

 

首相官邸が介入するとは、法治国家としての破壊行為だ」などと

 

厳しく批判しています。この議論の中で、国家公務員法の延長

 

規定について「検察官には適用されない」とする1981年の政府

 

答弁の存在が指摘され、それを巡る答弁が右往左往しました。

 

そして、安倍首相が、1081年の政府答弁で説明した法解釈を

 

変えたと答弁し、それを巡っても政府の説明が食い違いました。

 

今回の法案の問題点は、次長検事や検事長などは63歳で役職

 

を解くと定める一方、内閣の判断で延長、再延長できるとも規定

 

したことです。恣意的な人事介入の余地が残る、と指摘されて

 

います。昨年秋にまとまった検察庁法改正原案には、定年を

 

引き上げる条文はなかったのに、12月以降、急遽加えられた、

 

ということです。黒川氏の定年延長が検討された時期と重なり、

 

野党は「つじつま合わせだ」と批判しています。この法案が成立

 

しても、成立前に従来の法解釈を変えた違法性は残ります。

 

内閣が検察上層部の処遇を左右する規定を削除しなければ、

 

三権分立が守れないと思います。