コロナのニュースで、あまり報じられていませんが、この4月で、

 

介護保険制度が始まって20年になります。ドイツ等にならって

 

作られた制度ですが、日本の場合は、高齢化が進むことは

 

わかっていたのに制度作りが遅れていて、あまり時間をかけずに

 

作られたものです。その際、利用者の見通しが甘かったのか利用

 

者の数も、かかる費用も、始まった時の約3倍になっています。

 

2019年の利用者は487万人で、総費用は予算ベースで11兆

 

7千億円に上っています。各市町村で介護予防に力を入れて

 

いますが、団塊の世代が75歳になる頃が2025年問題とも

 

言われていて、要介護者が増えていくことは、間違いありません。

 

市区町村や広域連合ごとに決める65歳以上の保険料は、現在、

 

全国平均で月額5869円で、制度開始時の2倍に増えています。

 

当初は、サービスを受ける際に原則1割負担だった自己負担も、

 

一定の収入がある人は2割に、現役並みに所得が高い人は3割

 

に引き上げられました。これは、高齢者も所得に応じて社会保障

 

の費用を負担する、ということで、当然のことかと思います。介護

 

現場で深刻なのが、人材不足です。介護職員の給与は、全産業

 

平均に比べて月額9万円程度低いからです。人の命を預かる

 

仕事なのに、保育も同様ですが、主に女性が担ってきていたこと

 

から、男女の賃金格差が反映されたことが根底にあると言われて

 

います。介護を志す若い人が、結婚を機に、給与が低いからと

 

辞めるという話も、よく聞きます。安心して暮らすために必須の

 

介護保険制度が、よい形で存続するよう、国も地方も、現場と向き

 

合って、有効な施策を実行してもらいたいと思います。

 

さて、コロナ対策で、高齢者に重症化や死者が多いということで、

 

介護現場は大変な対応を迫られています。現在出されている

 

緊急事態宣言の7都府県では、通所介護やショートステイは、

 

休業要請などはない方針です。順次介護サービス事業者に通知

 

をだして、休業せざるを得ない場合や利用者がサービスの利用を

 

自粛する場合などに求める具体的な対応を周知している、という

 

ことです。家庭で介護をしている人は、仕事との両立や24時間

 

対応しなければならず、いつまで続くかもわからない中、介護

 

サービスを利用して、ぎりぎりの毎日を送っている場合が多いと

 

思います。未婚の男性が親の介護をしてして苦労している話も

 

よく聞きます。介護予防のための、通いの場が、コロナ対策で

 

公民館などが休館になってしまい、できなくなっています。軽井沢

 

でも、そうで、この通いの場でしか人と会話しない、という高齢者も

 

いる中、自宅にに籠りっきりで、体調が悪化したり、介護度が

 

上がったりすることが、心配です。母がお世話になっている東京の

 

介護施設でも、家族も面会禁止で、厳戒態勢をとっています。

 

その介護施設に、1人2枚の布マスクが、一般家庭より早く届いた

 

が、介護されている人が洗濯できるわけでもなく、扱いに困って

 

いる、とのこと。スタッフの使用するマスクもなくなっているので、

 

現場の声を聞いて対応してもらいたいと話していました。こういう

 

緊急事態になると、ほんとうは一番支援しなければならない弱い

 

立場の人のことが、後回しになることが懸念され、介護についても

 

現場の声が反映された対策を望みます。