コロナウイルス関連のことが連日大きく報じられていますが、その
間に、大事なニュースもあります。文部科学省は、3月24日に、
2021年度から中学校で使う教科書の検定結果を公表しました。
教科ごとの平均ページ数は、現在の教科書から7.6%増えて計
1万1280ページになり、平成以降で最多になりました。新学習
要領の柱とされる「主体的・対話的で深い学び(アクティブ・
ラーニング」の実現に向けて、生徒同士の対話型の活動を増や
したほか、学ぶ過程を丁寧に解説する傾向が強まった、と報じ
られています。22社が計115点(157冊)を申請し、106点
(145冊)が合格しました。英語が約13%ページ数が増えるなど、
教員や生徒がこなしきれないことも考えられますが、文科省は、
「授業や指導に役立つ記述も増え、純粋に負荷が高まったとは
言えない」と説明しています。アクティブラーニングは、各地の
中学校で十分広まっている、とはいえないと指摘されています。
経済協力開発機構(OECD)が2018年に、日本の中学校教員
約3600人にアンケートしたところ、「グループでの問題解決」を
授業にある程度取り入れていたのは44.4%、「解決法がない
課題の提示」は16.1%にとどまりました。ある公立中学校の
教諭は「深い学びの実現には、じっくりと教材研究する必要が
ある。雑務や部活指導などに追われ、時間が足りない」と語って
います。教育評論家の尾木直樹氏は、「マニュアルのように作り
込みすぎの気もする。手際よく授業はできるが、手順のまま
教えればいいと錯覚する危険もある。深い学びをするには教員の
力量が問われる。まず、教員自身が主体的になること。」と話して
います。それには、いつも指摘するように、諸外国と比べても
忙しすぎる日本の教員の働き方改革が必要だと思います。
充実した授業をするには、子どもたちが減るからといって、ただ
でさえ少ない教育予算を削減するのではなく、教員を増やすなど
必要な予算を増やす等の環境整備が必要です。