昨日9日、新型コロナウイルスの国内での感染拡大の問題で、
感染症の専門家などによる政府の専門家会議が開かれました。
この会議で、加藤厚生相は、「国内の状況は諸外国と比較しても
爆発的な感染拡大には進んでおらず、なんとか持ちこたえられて
いる」という認識を示しました。政府の専門家会議は、2月24日
に、「これから1~2週間が(感染の)急速な拡大に進むか、収束
できるかの瀬戸際」だとする見解を公表しました。この見解の後、
政府は2月25日に、感染拡大を防ぐための基本方針をまとめ、
翌6日に安倍首相が全国的なスポーツ・文化イベントなどに
ついて2週間の自粛を要請しました。専門家会議は、感染拡大
防止策の効果は、「患者数の減少が確認できるまでにはタイム
ラグがある。人々の行動が大きく変わってから2週間ほど経過
しないと、評価することはできない」としています。北海道の緊急
事態宣言から2週間の検証などもあり、19日ごろに判断する、
としています。それを受けて、政府は、少なくとも19日までは
自粛を続ける意向を示した、と報じられています。爆発的に
拡大していないということは、新たに感染者となった人が1日最高
で53人と100人に達していないこと、陽性率が、2月24日に
10.6%だったものが、3月5日には4.4%になっていること等から
ではないかと伝えられています。一方で、「年を超えて続くかもしれ
ない」と、長期化の可能性も示されています。現在は、まじめな
日本人は、がまんをしているのだと思います。感染が爆発的に
拡大していない、ということが大事ですが、一方で、経済や暮らし
には大きな犠牲が出ています。経済の停滞によって、東京株式
市場では、昨日の終値が2万円割れし、今日は、一時1万9千円
割れになりました。プロ野球とJリーグは、開幕と再開を延期しま
した。子どもたちの休校で、仕事ができない親が困り、給食がなく
なったことで困っている家庭では子どもの食が心配されています。
商売をされている方や企業も、先行きが見えず苦悩しています。
音楽業界でも、コンサートの中止・延期に危機感を募らせている、
ということです。「ライブをすることの是非については、いろいろな
意見があってよいが、決行した椎名林檎さんたちがあんなに
たたかれたのは心が痛い」とコンサートプロモーターズ協会の
中西会長が語っています。「ライブが軸なので、中止は3月までが
限界」と。クラシックについても、KAJIMOTOの梶本社長は、この
2週間で中止・延期になったクラシック関係の公演は500件に
のぼる中で、「このままだと、倒産する会社が相次ぐだろう。専門
家の意見に基づく裏付けがほしい。専門家と協議して対策を
具体的に対応している。長引けば、戦後脈々と培われて、ここまで
育てられてきた文化が、一気に崩れるだろう。元に戻すには大変
な時間がかかる。」と話しています。感染拡大防止が大事ですが、
自粛によって生活、経済、文化などが壊されることとのバランスを
考えた対応が必要だと思います。私たち、ひとりひとりも、手洗い
などの予防には気をつけながら、できる範囲の活動をし、考えて
結論を出したことを批判しないなど、賢く対応していくことが求め
られます。年を越すまで、家でじっとしているわけには、いかない
のですから。