森雅子法相は、21日、保釈された被告などの逃亡事件が続いた

 

ことを受けて、逃走を防ぐための新たな保釈制度について、法制

 

審議会に諮問しました。所在の監視や逃げた場合の罰則の新設

 

などが検討課題になる、とのこと。主な検討課題は、〇実刑判決

 

後にすぐに収容できるよう、保釈中の被告に控訴審判決時の

 

出廷を義務付け 〇保釈中の所在を確認するため、被告に

 

GPS機器を装着 〇逃走罪を保釈後に逃げた被告にも適用

 

〇実刑確定後も逃げているものへの家宅捜索など強制捜査権の

 

導入、です。昨年6月には神奈川県で保釈中に実刑判決を受けた

 

男が収容時に逃走、10、11月にも大阪府で保釈を取り消された

 

被告2人が逃走、年末には日産自動車前会長のカルロス・ゴーン

 

被告も保釈中に海外に逃亡し、制度の見直しが課題になって

 

いました。所在確認については、自宅に置いた機械が足首に付け

 

たタグを感知して在宅を確認する「電子監視」が、1980~90年

 

代に欧米で導入されたのが始まりとされています。1990年代

 

半ばには米国がGPSを使うようになり、カナダ、ベルギーなどに

 

広がった、ということです。ただ、こうした手法は、刑務所に入れる

 

代わりや性犯罪の前科がある人の監視に使うのが主で、保釈に

 

使う例は少ない、とのこと。私も、衆院の青少年問題特別委員会

 

の海外視察で、イギリスで性犯罪者にGPSを付けることを聞いた

 

ことがあります。日本で行われてきた、行動の自由を奪うことで、

 

捜査側に有利な供述を得ようとする「人質司法」といわれる、長期

 

の身体拘束が批判されてきました。最近になって、冤罪事件への

 

反省や裁判員裁判の導入を背景に、改善される方向に進んで

 

きていました。そうした傾向に水をさしているのが、保釈中の逃走

 

です。弁護人からも「拘束が続くよりもはるかに良い」といわれて

 

いるGPSの装着についても、検討が必要だと思います。しかし、

 

保釈される人すべてに、常に居場所を知られる人権の制約をして

 

よいのかなど、十分に検討することが望まれます。人質司法を

 

なくし、しかも逃亡は許さない仕組みづくりが求められています。