性暴力に対する、加害者を無罪とする判決が続き、抗議する

 

「フラワーデモ」が各地で開催されていますが、そのもとになった

 

判決のひとつで、逆転有罪が言い渡されました。酒に酔って眠り

 

込み、抵抗できない状態の女性と性交したとして、準強姦の罪

 

(現在の準強制性交罪)に問われ、1審の福岡地裁久留米支部が

 

無罪判決(求刑懲役4年)を出した、福岡市の会社役員椎屋安彦

 

被告(44)の控訴審判決公判が、昨日5日、福岡高裁であり

 

ました。鬼沢友直裁判長は「被告は被害者の状態を認識して

 

いた」として、1審判決を破棄し、懲役4年の実刑を言い渡し

 

ました。当然の判決だと思い、少しほっとしました。2019年3月の

 

1審判決は、女性が抵抗できない状態だったと認めたものの、

 

明確な拒絶の意思がなかったことから「性交を許していると

 

誤信してしまう状況になった」と判断し、「女性が抗拒不能の状態

 

だったと被告は認識していなかった」として、準強姦罪の成立に

 

必要な故意がなかったことから無罪と結論づけました。検察側は、

 

「被告は女性の状態を認識していた」として控訴しました。鬼沢

 

裁判長は、酩酊して眠り込んで抗拒不能の状態だった女性を

 

被告が直接見て性交していることを根拠に「被害者が抗拒不能

 

状況にあると認識していたと優に認められる」と故意を認定しま

 

した。性暴力事件への無罪判決が4件相次いだことから、昨年

 

4月11日に、被害者への連帯の思いを示す花を手に、500人

 

以上が東京駅前に集まったことが、フラワーデモの始まりで、全国

 

で性暴力の撲滅を願う人たちが街頭に集まってきました。開催を

 

呼びかけた作家の北原みのりさんは「声を上げたたくさんの人

 

たちの思いが、少しでも届いたのだとすればうれしい」と話して

 

います。性犯罪の被害者支援をしている弁護士は、「一審判決は

 

セカンドレイプとも言える内容で、被害者が受けたダメージの

 

大きさは計り知れない」と話した、と報じられています。性被害を

 

訴えて3年前に実名で改憲した、ジャーナリストの伊藤詩織さん

 

は、2ヶ月前に民事訴訟で勝訴していますが、糾弾することが目的

 

ではなく、「声を上げることが私なりのサバイバルの方法でした」と

 

語っています。「誰かが変えてくれるのを期待し、待つのではなく、

 

自分が動けば変えられる。誰もがそのパワーを持っている」という

 

ことばが、心に響きます。まだまだ女性の人権が、性については

 

特に軽んじられている日本で、司法の判断が女性の訴えに寄り

 

添ってくれたことに安堵し、こうした認識が広がることを願って

 

います。