未婚のひとり親の税負担を軽くする新しい制度の対象範囲を

 

めぐって、与党である自民・公明両党の見解が異なり、歩み寄り

 

がないことが続いていました。子どもの貧困に対応する目的は

 

一致しているのに、寡婦(夫)控除制度と同水準を求める公明党

 

に対して、自民党は「(男女の婚姻を基本とした)あるべき家族の

 

姿を守るべき」「未婚の出産を助長するべきではない」という声が

 

多いということから対象範囲を狭めることを求めていました。多様

 

な家族のあり方を認め、どのような家庭の子どもでも支援する、と

 

なぜ考えられないのかと思っていました。そして、昨日10日、

 

自民、公明両党は、与党税制協議会を開き、合意しました。

 

配偶者と離婚・死別したシングルマザーなどひとり親を対象として

 

いた「寡婦(夫)控除」を未婚者にも適用します。議論されていた

 

対象範囲は、所得が500万円(年収は678万円)以下の親を

 

対象に、所得税や住民税を軽減します。婚姻歴の有無に

 

かかわらず税制面で優遇して、厳しい境遇に置かれている

 

ひとり親家庭の生活を支えることで、前進したのはよかったです。

 

寡婦控除では、所得税の税額計算時に所得から最大35万円を

 

差し引く税優遇を未婚者にも適用します。男女間の格差も縮小

 

させ、男性のみにあった500万円の所得制限を女性のひとり親

 

に新設し、男性の所得税を計算する際の控除額を27万円から

 

35万円に引き上げて、女性と同額にする、ということです。

 

寡婦控除と同じ年500万円以下を主張する公明党と、事実婚か

 

どうかを確認できる児童扶養手当と同程度の年230万円以下に

 

絞ることを主張した自民党が対立していました。しかし、自民党内

 

でも稲田朋美幹事長代行などから異論が出て、公明党に歩み

 

寄った、とのこと。総務省によると、全国のひとり親世帯は約

 

124万世帯で、そのうち未婚の世帯は約21万世帯(17%)です。

 

これまでの家族のあり方などに拘っていると、本当に必要な

 

子どもたちに支援の手が届かないことにもなります。今回は、

 

範囲が狭められないでよかったと思いますが、これに類した問題

 

は他にもあると思いますので、柔軟な対応を望みます。