昨日4日、ほんとうに悲しい残念なニュースがありました。アフガニ

 

スタン東部のジャララバードで、4日、農業支援などに取り組む

 

福岡市のNGO(非政府組織)「ペシャワール会」現地代表の、

 

中村哲医師(73)たちが乗った車が武装した男たちに銃撃され、

 

中村さんが死亡しました。中村さんは、運転手やスタッフとともに

 

灌漑事業を進める場所に向かっていて、襲撃された、とのこと。

 

ジャララバードがあるナンガルハル州は、反政府勢力タリバン、

 

過激派組織イスラム国(IS)の支部組織、アフガン政府軍が三つ巴

 

で戦う激戦地、と報じられています。犯行声明は出ていず、

 

タリバンは自分たちではないと否定していて、ISの支部組織の

 

犯行か、というニュースも流れています。ペシャワール会では、

 

2008年に、日本人スタッフの伊藤和也さんが武装グループに

 

拉致され、その後遺体で発見されてから、警備員も同行して

 

セキュリティーには気を配っていた、ということですが、その警備

 

員、運転手、スタッフなど車に乗っていた6人全員が射殺された、

 

ということです。中村医師が、パキスタンのペシャワールで、NGO

 

として医療の支援をしていた時に、もう20年以上前ですが、

 

お会いしています。もう一人の若い医師とともに医療支援に力を

 

尽くされていました。その頃は、中村さんは、ハンセン病患者の

 

治療などをされていました。私が、アフガン難民の取材のために、

 

提案が通らなかったため休暇をとって、知り合いの女医さんの所

 

に泊めていただいて取材をしていた時にお会いし、活動とお話に

 

感銘を受けました。手元に、中村さんが書かれた「ペシャワール

 

にて~癩(らい) そしてアフガン難民~」「医者 井戸を掘る」が

 

あります。中村さんは、現地に溶け込んで人々のための活動に

 

専念されていました。アフガン難民と接したことでアフガニスタンに

 

拠点を移し、2000年の干ばつで農地が砂漠化すると、中村さん

 

を支援しようと設立されたペシャワール会は水利事業を始めて、

 

これまでに約1600ヶ所の井戸を掘っています。中村さんは、

 

いつもその先頭に立って活動し、2003年からは農業用水建設

 

のために、土木を独学し図面を描き、自ら重機を運転していたそう

 

です。若い人たちに、仕事の場も提供していました。アフガンの人

 

たちにとっては、「命綱」とも「神様」とも慕われていて、2018年に

 

アフガン政府から勲章を授与され、今年10月にはアフガン政府

 

から自由に入国できる名誉市民権を授与されたばかりでした。

 

アフガニスタンでは、治安が悪化していて、戦闘やテロに巻き

 

込まれた民間人の死傷者は、2014年から5年間で1万人を

 

超え、今年は、援助関係者27人が死亡し、31人が重軽傷、33人

 

が誘拐された、と報じられています。そうした中でも、中村さんは、

 

清潔な水と食糧があれば治る病気でも、ないために亡くなる人が

 

急増すると「とにかく生きておれ。病気は後で直す」と、飲料水

 

確保のための井戸を掘るなど、地元の人たちに寄り添って

 

きました。諸外国で献身的に活動しているNGOの日本人たちが

 

多くいますが、中村さんは、その多くの人たちからも尊敬され、

 

お手本とされている方でした。最近も、まだ20年は活動する、と

 

話されていたということで、失ったことは、ほんとうに大きな損失

 

です。ペシャワール会では、遺志を継いで活動を続ける、として

 

いますが、中村さんがいないとできなくなることもあると思われ

 

ます。それでも、この事件によって、NGOの活動を制限する方向

 

にはいかないでほしいと思います。中村さんも、望んでいない

 

でしょう。何とか可能な限りの安全を確保しながら活動できるよう

 

にバックアップすることが大切だと思います。

 

され

 

 

 

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