社会保障改革のニュースが、相次いでいます。厚生労働省は、
厚生年金が適用されるパートなどの範囲を2段階で広げる方向で
調整に入った、と報じられています。私が厚生労働大臣をしていた
時に、女性は非正規が半数以上で若者も4人に1人は非正規と
いう状態の中で、将来の低年金・無年金を減らすためにも、パート
などがなるべく多く厚生年金に加入できるように取り組みました。
しかし、年金保険料が折半で負担になる中小企業などの反対で、
当初予定より少ない人数でのスタートになってしまいました。現在
は、勤め先の企業規模が「従業員501人以上」「週20時間以上
働き、月収8万8千円以上」などの条件になっています。企業規模
を、2022年10月に「101人以上」、2024年10月からは
「51人以上」に引き下げる、とのこと。一定の準備期間を設けて、
中小企業などの理解を得たい、としています。これを実現すれば、
低年金・無年金の人を減らせると同時に、年金財政も改善します。
厚生労働省によると、企業規模を51人以上にした場合、モデル
世帯の将来の年金水準は、0.3ポイント上がる、ということです。
本来ならば、企業規模は撤廃してよいと思います。安倍政権は
女性活躍を掲げ、就職氷河期で意思に反して非正規になった
若者への支援も打ち出していることからしても。また、子どもの
貧困対策としても、シングルマザーの処遇改善にもつながると
思います。日本の社会保障制度は、半世紀以上前に作られて
以来、「国民皆年金・皆保険」で、優れた制度と国際的にも評価
されてきています。人口構造や働き方が変わった中で、必要な
改革が迅速に行われることを願っています。