香港区議会(地方議会、18区で直接投票枠452議席)選挙は、
昨日25日、開票が終了し、香港メディアによると民主派が8割超
の議席を獲得して圧勝しました。抗議デモに強硬姿勢で臨む
香港政府と中国の習近平指導部に、民意が明確に「ノー」を
突きつけた、と報じられています。民主派が過半数を獲得した
のは1997年の中国への香港返還後初めてです。民主派は、
直接投票枠の約85%に当たる385議席を獲得し、親中派は
292議席から59議席に激減しました。香港メディアは、民主派
が政府トップの行政長官を選ぶ選挙委員会1200人のうち、117
人の区議会議員枠を全て獲得する見通しだと報じていて、行政
長官選挙にも影響を与えることになります。投票率は、前回を
20ポイント以上も上回り、返還後最高の71.2%になり、香港の
人たちが、民主的な政治体制を求めて、学生たちのデモを支持
している強い思いがわかります。区議選を前に両派候補者への
暴力事件も多発していました。民主派団体代表のジミー・シャム
さんは、10月にバットを持った男たちに襲われ負傷しましたが、
当選しました。民主派が圧勝しても、政府側に譲歩する余地は
少なく、出口は見えないといわれています。政府はデモ隊の民主
的政治体制を求める要求を突っぱね、対立が激化していました。
林鄭氏は、民主派の圧勝を受けて「真剣に反省する」と表明して
いますが、言葉通りに受け止める市民は少ない、ということです。
中国の外交関係筋は、民主派の躍進に驚いているそうです。
しかし、香港政策を中国側が変更する余地は少なく、王毅国務
委員兼外相は、「香港を混乱させるあらゆるたくらみも目的を
達することはない」と述べました。アメリカの出方も注目されて
いますが、米下院は20日、中国が香港に高度の自治を保障する
「一国二制度」を守っているかどうか米政府に毎年検証を求める
超党派の「香港人権・民主主義法案」を、賛成多数で可決しま
した。米中対立が激化している中でトランプ大統領が署名するか
が注目されています。中国が圧力をかければかけるほど、香港の
市民の反発は強まり、抵抗が激しくなることが予想されます。香港
市民にとっては、民主主義や自由を守ることが、人権を守ること
で、どうしても譲れないものだと思います。選挙結果を受け
入れて、「一国二制度」の原則に立ち戻り、香港の自治を大切に
してもらいたいものです。力によって介入することは、やめて
もらわないと収拾がつかなくなります。