香港で、デモ参加者のマスク着用を禁じる「覆面禁止法」が施行された初日の
5日、そして昨日6日、香港で、施行に反発する多くの市民が、マスクを着用して
無許可の抗議デモを行いました。この「覆面禁止法」は、デモ参加者がマスクなど
で顔を覆うことを禁じる規則です。行政長官が、緊急時に立法会(議会)の手続き
を経ずに必要な規則を設けられる「緊急状況規則条例」を発動して制定し、5日に
施行されました。最高刑は金庫1年、罰金2万5千香港ドル(約34万円)。警察の
許可を得ていないデモだけでなく、合法的な50人以上の集会、30人以上のデモ
行進にも適用されます。施行初日の5日には、中心部でマスク姿の市民など千人
超が幹線道路を占拠して無許可の抗議デモを行いました。複数のデモが呼び
かけられましたが、大きな混乱は起きていない、と報じられていました。香港各地
で、4日夜には激しい抗議行動が発生し、警官が実弾を発射して、14歳の少年が
太ももに重傷を負いました。1日に高校2年の男子生徒が警官に至近距離から
左胸を撃たれて一時重体になったばかりですが、また子どもの犠牲者が出たこと
になります。この日、警察は同法に違反したとして13人を逮捕しました。この覆面
禁止法について、6日、民主派議員などが行った同法の臨時差し止め請求を、
高等法院(高裁)は、認めませんでした。同時に申し立てた緊急条例を用いた同法
制定の違法性を問う司法審査については、10月下旬にも審査の必要性を審理
することを決めた、とのこと。6日には、香港の中心部や九竜半島で行われた
マスク姿の市民など計数万人が無許可の抗議デモを行いました。この覆面禁止法
を、香港政府は、「勇武派」と呼ばれる過激な破壊行為も辞さない若者たちと、彼ら
に声援を送る穏健な市民を分断するために制定した、とされています。世論の
支持を失えば、勇武派は孤立化し、デモは縮小に向かうという読みがあった、との
こと。しかし、市民の行動を読み違えていて、緊急条例は戒厳令に近い効力が
あり、禁じ手とされているので、市民の反発を激化させたようです。6日のデモ
には、親子連れなども参加し、反発する動きは逆に広がっています。中国の習
近平指導部は、背後から行政府に圧力をかけ、覆面禁止法の発令が「香港の
法治を守る」と強調している、と報じられています。市民が、何に失望し、怒りを
こめて抗議行動を起こしているのか、対話でしか解決しないと思います。中国が、
武力で介入する最悪の状態は何としても避けるよう、国際社会が、常に関心を
持ち、意思表示をしていかなければならないと思います。