女性が職場でヒールのある靴の着用を強いられること、その苦痛からの解放を
訴える「#KuToo」運動が、ネットなどで広がっています。動きやすいスニーカーを
採用する企業もでてきた、ということですが、接客業ではパンプスが義務づけられ
ている企業が多く、ヒールの高さや幅の指定がある企業もある、と報じられて
います。例えば、3~5センチのヒールを規定しているのは、帝国ホテル、全日空、
第一生命などで、日本航空は3~4センチ、燦HDは葬儀の際は3~7センチの
ヒールを、など様々です。ツイッターでは、今年に入って「#KuToo」というハッシュ
タグができ、多くの女性などが仕事中の靴にまつわる苦痛を訴え、ネット上では
署名活動も行われています。「健康被害に苦しんでいる」「女性のみに命じるのは
性差別」などの声があがる一方で、声を上げた女性へのバッシングも起きている、
とのこと。性被害などについての「#MeToo」運動から発展したものだと思います
が、これまでは見過ごされてきた女性に限っての規定で、女性が能力を発揮する
妨げになっているものを見直すことは、必要だと思います。会社によっては、
パンプス以外の靴を履いたり、ヒールが規定より少しでも低い靴を履いたりする
と、人事担当者に注意され、規定のヒールの高さの靴に履き替えるように指示
されるそうです。高いヒールのパンプスによって、足の指の晴れ、タコの痛み
などに苦しみ、病院で治療している人もいます。西洋服飾史の研究者によると、
ヒールは近世の男性貴族によって流行させられ、1920年頃からヒールが女性に
広まり、ヒールを履いた脚の形が男性が求める女性像を具体化した、ということ
です。欧米の服飾文化をそのまま受けいれたのが日本で、ヒールは働くのに機能
的とはいえず、押し付けは女性の立場や行動をしばりかねない、としています。
海外では、性別による規定を禁止しているところもあり、ハイヒールの着用に
ついては、米国では20~30年前に議論され、例えばニューヨーク市では、
市の人権条例の中で「性別によって違った服装規定や制服、身だしなみのルール
を設けることは許されない」としています。男性が望ましいと考える脚の形のため
にヒールの高いパンプスを履くよう規定することは、女性への差別であり、女性が
いきいきと能力を発揮できるようにしていくことが、政府が「女性が輝く社会」を
掲げている日本でも、とるべき行動だと思います。