京都市伏見区の京都アニメーション第一スタジオが、7月18日に放火されてから

 

来週には1ヶ月になります。犠牲者35人のうち、遺族が了承したとして10人の

 

身元を実名で、8月2日に京都府警が、公表しました。10人は、人気アニメ

 

「らき☆すた」監督の取締役武本康弘氏(47)、人気アニメ「Free!」の総作画監督

 

西屋太志氏(37)、ベテランアニメーターの取締役木上益治氏(61)など、22~

 

61歳の男女です。京都府警は、DNA型鑑定などで、35人全員の身元を特定して

 

いる、ということです。そのほか、長野県伊那郡出身の西川麻衣子さん(29)が

 

含まれている、と信濃毎日新聞が伝えています。事件後、犯人の青葉真司容疑者

 

(41)は、重体で事情を聞ける状態にない、ということですが、京都アニメーション

 

は、青葉容疑者と同姓同名の人物から同社に作品の応募があり、形式面で

 

1次審査を通過しなかったことを、明らかにしています。青葉容疑者は、身柄

 

確保時に「小説を盗まれたから放火した」という趣旨の話をしています。京都府警

 

も京都アニメーション側から報告を受けていて、同容疑者が一方的な思い込み

 

から、京都アニメーションに恨みを抱いた可能性があるとみて、動機の解明を

 

進める、と報じられています。犠牲者の報道を実名にするか匿名にするか、という

 

ことが議論になっています。京都府警の捜査1課長は「身元を匿名にすると、

 

様々な憶測が飛び、誤った事実が流れる。結果として亡くなられた方やご遺族の

 

名誉が傷つけられる懸念がある」と、実名発表に向け、遺族にそう説明を重ねて

 

きた、と強調しています。最大限の配慮をした背景には、京都アニメーションからの

 

要請があった、としています。京都アニメーションは、7月22日に府警に文書を

 

提出し、実名発表に関し「公益上の必要性」は特にないとして、「プライバシーが

 

侵害され、遺族が甚大な被害を受ける。差し控えるよう、強く要望する」と求めて

 

います。しかし、実名を明らかにしないことによって、報道機関を委縮させ結果的

 

に警察の捜査が適正かどうかを知るすべがなくなる、犠牲者の生きた証しを

 

残したいという思いを途絶えさせてしまう恐れがある、支援態勢を構築できる

 

メリットをなくしてしまう、などの批判があります。京都府警は、遺族への丁寧な

 

説明を重ねつつ公表時期を探っていく構えで、今月下旬、四十九日を迎えたあと

 

になる公算が大きくなっている、ということです。これまでの運用では、殺人事件

 

などの被害者については実名が公表されるのが一般的ですが、事件ごとに事情

 

が違うため、警察庁は、都道府県警が遺族の意向などを十分に考慮して

 

ケース・バイ・ケースで判断する、としています。犠牲者が生きた証しとして、また

 

事件を総合的に検証し、支援態勢も有効に構築するために、実名報道が望ましい

 

のではないかと思います。ただし、そのためには、社会全体として、中傷を受け

 

たりすることがないように、また報道が過剰にならないようにすることなどが、

 

必要です。