現地時間の24日、英与党の保守党党首に選出されたボリス・ジョンソン氏(55)

 

が、エリザベス女王の任命を受け新首相に就任しました。EU(欧州連合)からの

 

離脱を巡る混迷から、どのように脱却するかが、最重要課題です。ジョンソン氏

 

は、離脱の是非を問う2016年の国民投票で、離脱運動を先導し、メイ政権の

 

外相を務めましたが、EUとの協調路線を掲げるメイ氏の離脱方針に抗議して、

 

辞任しました。ジョンソン氏は、23日に党首に選出されました。党内や世論は

 

分断されていて、かじ取りは難しい、といわれています。ジョンソン氏は、その言動

 

から「英国のトランプ」とも呼ばれていて、カリスマ性がある指導者ですが、その

 

言動は批判されてもいます。ぼさぼさの髪やだらしないスーツの着こなしなどが、

 

エリート然としていないとして、庶民からの人気も高いそうです。しかし、失言癖も

 

有名で、かつてオバマ前米大統領を「半分ケニアの家系」と言ったり、イスラム

 

教徒の女性の服装を「銀行強盗犯」と形容したりしています。EU離脱については、

 

国民投票の時から「EUの一員でいることで主権を失う」と離脱派を率いてきま

 

した。離脱を巡っては、世論は割れ、前政権と同様、議会の同意を得るのが困難

 

な状況も変わっていず、離脱の形も道筋も、見えていません。英メディアは、

 

最近、ジョンソン陣営が反対論を封じるために議会を閉会させ、離脱を強行する

 

という戦略があると報道し、下院は先手を打って阻止法案を可決しています。

 

政権と議会は、対決の様相で、EUとの再協議が決裂すれば、合意なき離脱が

 

一気に近づき、EU全体にとっても、よくない事態になります。11月に就任する

 

次期委員長のフォンデアライエン委員長は、離脱日の再延長も認める姿勢と

 

いわれています。もし、合意なき離脱になれば、英国の成長率が下がるだけでは

 

なく、日本企業も含めた外国企業の流出も加速するなど、各国への影響も、はかり

 

知れません。英国の先月の世論調査では、ジョンソン氏が、「良い首相になる」

 

という声は31%で、「悪い首相になる」という49%を下回っています。英国が

 

どうなるか予測不能とされていますが、何とか各国への影響が最小限になり、

 

英国やEUにとって、よりよい選択になるように、と思っています。