米下院は、16日、トランプ大統領が民主党の非白人女性議員4人に対して「国を
出ていけ」と述べた発言について、「人種差別だ」と非難する決議案を賛成多数で
可決しました。下院で多数派の野党・民主党議員に加えて、与党の共和党4人、
無所属1人が、賛成しました。米政治専門サイトのポリティコによると、トランプ氏
の大統領としての発言を明確に非難する決議が、連邦議会で可決されたのは
初めて、とのこと。トランプ氏は、14日、米国の制度や人種差別などを批判する
民主党の非白人で新人の女性下院議員たちに対して「世界最悪の国から来て、
米政府はどうすべきか語っている。国に帰り、まず立て直してはどうか」とツイッ
ターで攻撃しました。トランプ氏は名指しはしませんでしたが、急進的左派
「プログレッシブ(進歩派)」のプエルトリコ系のオカシオコルテス、ソマリア難民の
オマール、パレスチナ系のトレイブ、アフリカ系のプレスリーの4下院議員とされて
います。オマール氏は難民として子どもの時に親と逃れて米国籍を取得していて、
あとの3人は米国生まれです。4人とも、昨年秋の中間選挙で初当選しました。
4議員は、15日そろって記者会見し、オマール氏は「あからさまな人種差別攻撃」
とし「白人国家主義者のアジェンダだ」と訴えました。また、政策面では4議員と
距離を置いていた民主党のペロシ下院議長も「トランプ氏は、「米国を再び偉大に
する」という政策は、常に「米国を再び白人の国にする」ということだと改めて
認めた」と批判しました。トランプ氏は、来年の大統領選に向けて、保守派支持層
にアピールする狙いがある、とされていますが、このような人種差別発言が許され
てよいはずが、ありません。各国首脳からも非難されています。メイ首相は
「まったく受け入れられない」と強く非難し、ジョンソン前外相も「偉大な多民族、
多文化国家のリーダーは、そんな言葉を使ってはいけない」と語っています。
ニュージーランドのアーダーン首相は「完全に、まったく、同意しない。ニュージー
ランドでは人々が正反対の考え方を持っていることを誇りに思う」としています。
カナダのトルドー首相は「カナダで私たちがとる対応ではない。カナダ人はカナダ
人だ」と語っています。トランプ氏の発言が、メディアや民主党の猛反発を招き、
米下院が非難決議をしたのは、当然のことだと思います。このような人種差別
発言をする大統領が、依然として高い支持率を支持層から受けているのは、理解
できないことです。