保険の不適切販売が発覚した、かんぽ生命保険の植平社長が、昨日10日、
日本郵便の横山社長とともに東京都内で記者会見し、「多数の顧客に不利益を
生じさせたことで信頼を損ねた。深くおわびを申し上げる」と謝罪しました。顧客の
意向に応じて、無保険などになった顧客の契約復元や保険料の二重払い分の
返却を進める、とのこと。社外有識者による第三者委員会も設置し、調査する
そうです。不利益が生じた契約は9万件を超え、2007年の郵政民営化以降、
最大の不祥事になりました。かんぽ生命といえば、日本郵政グループで、
「暗黙の政府保証」の安心感を逆手に取った保険の不正販売が横行していた、
と言われています。多くの人が、特に地方では親しんでいる、全国2万ヶ所超の
郵便局が舞台になりました。保険商品に不慣れが郵便局員のために販売
マニュアルが用意されていて、乗り換え勧誘によって顧客が無保険状態に
陥ったり、保険料を二重払いさせたりするリスクが明記されていた、ということ
です。しかし、厳しいノルマをクリアして、手当収入を増やすために、顧客に
とっては不利益となる販売が行われていました。新規契約を増やすために、
評価される乗り換えをさせたりしていて、乗り換え時に健康状態の悪化などで
再契約できなかった事例が約1万9千件あり、顧客の意向に反した乗り換えだった
可能性があり、計約2万4千件を対象に、かんぽ生命は調査を開始しています。
また、6ヶ月以上の二重払いが2016年4月~2018年12月の契約で計2万
2千件あったことが判明しています。国の信用を利用して、これほど多くの不正が
あったことには驚きますし、許されることではありません。背景には、過剰な成果
主義があり、保険の販売目標は民営化後に2倍になり、目標が達成できなかった
人の名前が公表されたり、叱責されたり、圧力が強まった、とのこと。増えた顧客
の負担を自腹で立て替えた局員もいたそうです。このようなやり方は、民間の保険
会社では、とうの昔にやめています。早急に全容を解明して、過剰な成果主義を
改めてもらいたいと思います。被害を被った顧客への補償は当然のことです。
体質を改善するには、根深い問題があるようですが、しっかり取り組んでもらわ
ないと困ります。