経済協力開発機構(OECD)が、昨年実施した第3回国際教員指導環境調査の

 

集計結果が公表され、日本の中学校教員の仕事時間は1週間当たり56.0時間

 

で、2013年の前回調査を2.1時間上回り、2回連続で世界最長になりました。

 

参加48ヶ国・地域の平均は週38.3時間で、日本は部活動の指導や事務業務の

 

長さが目立った、と報じられています。文部科学省は、今年1月、公立校教員の

 

残業の上限を「月45時間、年360時間」とする指針を策定しました。部活動の

 

あり方の見直しなどの総合的な働き方改革を推進していますが、世界と比べて、

 

突出している実態が、改めてわかりました。教員の仕事時間は、小中学校ともに

 

世界最長で、唯一50時間台でした。部活動を含む加害活動の指導は7.5時間

 

(平均1.9時間)、書類作成などの事務業務は5.6時間(平均2.7時間)で、とも

 

に世界最長ということです。一方、教員の能力を高めるための「職能開発活動」

 

は、最短の0.6時間(平均2.0時間)で、文部科学省が目指す「主体的・対話的で

 

深い学び」の視点からの授業を実施している教員も他国より少なく、「勤務状況」と

 

「授業内容」」ともに課題があります。調査結果からは、新学習指導要領が目指す

 

上記の「深い学び」につながる「批判的に考える必要がある課題を与える」といった

 

指導を「いつも」もしくは「しばしば」していると答えた教員は12.6%(平均61.

 

0%)で最低となっています。「明らかな解決法が存在しない課題を提示する」も

 

16.1%(平均37.5)にとどまっています。こうした実態が明らかになったのです

 

から、本気で教員の働き方改革を、部活動の指導者を外部から導入する、事務の

 

業務を補佐するスタッフを設ける等、これまでも指摘されてきた解決策に取り組む

 

必要があると思います。資源のない日本では、人が宝、といわれながら、現状の

 

教育の現場が抱える課題が深刻なことを受け止め、一歩ずつ確実に改革して

 

いってもらいたいものです。