昨日お伝えした、政府の今年の骨太方針(経済財政運営と改革の基本方針)の
1項目目にあげられている「高齢者雇用」について、課題を考えたいと思います。
70歳まの雇用については、政府の未来投資会議で、希望する人が70歳まで働き
続けられるよう就業機会の確保を企業の努力義務とする方針が、明らかに
なっています。70歳まで働くための7つの選択肢が示されていて、①定年を廃止
する ②定年を引き上げる ③契約社員などで再雇用する、この3つはすでに
65歳まで働きたい人のために、企業がいずれかを用意することが義務付け
られています。これに加えて、④他企業への再就職の実現 ⑤フリーランスで
働くための資金提供 ⑥起業支援 ⑦NPOなどの社会貢献活動への資金提供
の4つがあげられていて、どれを採用するかは、各企業の労使で話し合って
決めることになっています。しかし、これまでも、定年廃止や延長は、企業が人件
費が増えることや解雇しにくいことから2割にとどまり、8割が契約社員として
再雇用されています。再雇用時に賃金を下げるので、70歳まで低い収入で
働き続けることになります。また、高齢の社員が会社に残れば、若い世代の昇進
が遅れることも指摘されています。また、環境整備が必要なのは、安全について
です。高齢になると身体機能が低下し、厚生労働省の2018年の調査では、
仕事中のけがなどで労働災害になった60歳以上の働き手は、前年より10.7%
増え、労災全体の4人に1人を占めています。雇用者1千人あたりの労災件数は、
20代が1.6件なのに対して、60歳以上は3.8件と2倍以上になっています。
年齢を重ねるとともに、視力、握力、バランス保持能力などの身体機能が低下し、
仕事中にけがをしたり、事故にあったりしやすくなります。高齢になっても安全に
働ける職場の工夫や、勤務の仕方も短時間勤務やテレワークなど、無理のない
働き方が必要になると思います。超少子高齢社会のトップランナーの日本ですし、
働ける間は働きたいという人も多いので、70歳まで働けるようにすることはよいと
思いますが、働きに見合った処遇、安全な職場環境、多様な選択肢などが必要
だと考えます。